エンゼルス・大谷の活躍で再認識…日本人メジャーリーガーの道を切り拓いた「野茂英雄」の偉大さ

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野茂英雄がメジャー挑戦を決断したのは94年オフ。当時では想像できない選択肢だった


 「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はメジャーリーグで活躍した先駆者・野茂英雄さんについてお話させて頂きます。

 エンゼルス・大谷選手が投打の「二刀流」で大活躍して全米でも大きなニュースになっています。日本球界からイチロー選手、佐々木主浩投手、黒田博樹投手、上原浩治投手、松坂大輔投手投手ら多くの選手が海を渡り、メジャーリーグで活躍してきました。現在もダルビッシュ有投手、田中将大投手、前田健太投手を筆頭にチームの中心選手で奮闘しています。選手だけではありません。日本人通訳、日本人トレーナーも選手をサポートするために米国で当たり前のように活動できるようになりました。私も含め、このような環境が実現できたのは野茂英雄さんのおかげだと心から思います。

 野茂さんが近鉄を退団してメジャー挑戦を決断したのは94年オフ。当時は日本球界からメジャーリーグを目指すなど考えられないことでした。決して恵まれた環境が整っていたわけではありません。95年2月にドジャースと結んだのはマイナー契約。年俸は近鉄時代の1億4000万円から大幅減の980万円でした。懐疑的な目も向けられる中で、95年に13勝をマークして新人王を獲得。トルネード投法で三振を次々に奪うスタイルは日米で社会現象になりました。メジャー12年間で7度の2ケタ勝利を挙げるなど通算123勝を挙げました。

 私は一昨年まで約15年間、日米でストレングス&コンディショニングの専門家として活動してきましたが、野茂さんの活躍は私を含めた多くの分野の人材へ可能性を与える影響力となっていると肌で感じさせられました。メジャーリーグのパドレスで通訳兼コンディショニング補佐をしていた時に、04年にパドレスに入団した大塚晶文さん(現中日派遣コーチ)が選んだ背番号は近鉄で野茂さん退団後に継承した「11」同様、野茂さんがドジャース時代につけていた「16」をパドレスでも選択し、野茂さんへの敬意を表しています。

 実際にお会いしたのは04年。野茂さんは体がとにかく大きい。特に骨盤ですね。下半身がどっしりしていて相当鍛錬されているのだなと思いました。身にまとうオーラにも圧倒されましたが、挨拶すると物腰柔らかい方で穏やかな口調でお話をされる。決して偉ぶらないし、あまり自分のことを語る方ではありません。でもメジャーリーグ挑戦の道を切り拓き、日本人選手の価値を高めた偉業は計り知れません。野茂さんがいらっしゃらなければ、米国で仕事ができなかったと思いますし感謝の念が強いです。先人の功績を語り継ぐことは私にとっても非常に重要なことだと思います。


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[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

高橋 純一(たかはし・じゅんいち)

高橋 純一

MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。

J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)

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