松田宣浩 小学校時代から今の「熱男」に至るまで

タグ: , , , , 2017/12/31

WBC準決勝のあの時の出来事

 2017年のプロ野球シーズンは福岡ソフトバンクホークスの劇的なサヨナラ勝ちによる日本一で幕を閉じた。その日本一に大きく貢献した1人、松田宣浩選手(34)に話を聞いた。チームとしてだけではなく個人としても全試合出場、5年連続ゴールデングラブ賞受賞と輝かしい成績を残した松田だったが、春先に出場したWBCでは自らのミスによりまさかのベスト4敗退、そのまま開幕した2017年のシーズンだったが序盤から極度の打撃不振に陥るなど決して順風満帆な1年ではなかった。彼は苦しい時期をどのようにして乗り越え、どうシーズンを過ごしていったのか。


(WBCについて)「あのミスはピッチャーが投げた時から気づいたら弾いていました。やっぱりドジャースタジアムでの対アメリカ戦、完全アウェーな状態で、向こうはバリバリのメジャーリーガーですから、守っていて恐怖感とかドキドキ感というものはありました。そういう中でも投げる前からしっかり投げる前からしっかり打球がくるイメージを持って構えておけばよかったという後悔はあります。」

 その後気持ちを切り替えて臨んだ今シーズンだったが、開幕してから1ヶ月間でホームラン0本と、極度の打撃不振に陥ってしまった松田。例年打撃には波がある方だがここまで打てないのは珍しかった。WBCのミスからずっとモヤモヤした気持ちが続いていたというが、その気持ちを払拭したきっかけはなんだったのか。

「開幕してからずっと打てなかったのは、ただただ練習不足でした。WBCが終わってオープン戦1試合程しか挟まずにすぐ開幕戦だったので。(きっかけは)シーズン最初のホームランが出てからですね。僕の中で、今年に関しては今まで〝フライを打つ〟というイメージを持って打撃を行なっていたものを〝ライナーを打つ〟というように心掛けていました。同じものでもバットの軌道を言葉で変えたことによって気持ちが変わりそのお陰で5月以降調子が上がりました。」

 そこから打撃はこれまでとはうって変わり、5月には自身最高となる月間7本塁打、6月には史上101人目となる通算200本塁打を達成した。

松田と言えばホームランを打った際に行う「熱男〜!」というパフォーマンスがおなじみだが、その時期、偶然なのか今シーズン初ホームランを打った際は「ワンダフォー!」だったものが2本目以降から「熱男〜!」に変わっていた。これは自らの心情と何か関わりがあったのだろうか。

「ちょうどその頃、試合前の打撃練習中に秋山(幸二)さんにボソッと言われたんです。『ホームランとかいい結果を出すには熱い心が無いとダメだ〟』と。そういうことかと思い熱男に戻しました。」

 結果的に日本一に輝いた2017年のシーズンだったが、日本一にになったことによりWBCでのミスは払拭されたのか。

「それは別物だと思っています。やっぱりあそこでのミスがあったからこそもっと守備を頑張ろうという気持ちになりましたし、だからこそ絶対にゴールデングラブ賞を取ってやろうという気になりました。」

 その言葉通り松田は見事5年連続となるゴールデングラブ賞を受賞した。

プレッシャーとの闘いは小学校から

 いくら数々の大舞台を経験し、日本一激しいとされるチーム内競争を勝ち抜きレギュラーとして定着して活躍し続けている彼とはいえ、競技人生において様々な壁にぶつかってきたことは確かだ。これまでの苦境をどう乗り越えてきたのか。

「小中高そして大学とこれまでプレッシャーの中で野球をしてきました。特に高校時代は負けたら終わりという状況下でプレーしていました。でも逆に言えば勝ったら甲子園に行ける訳ですから、そういった意味では最高のモチベーションでしたね。ただ負けた時モチベーションが壊れてしまうのでそこの常備はしっかりしないとと思います。ゲームセットまで甲子園に出れるチャンスはあるのでそこでチャンスを掴むか掴まないかは自分たち次第です。
 そうしたなかでもプロ野球選手になれる人って一握りだと思うんですよね。それ故プロ野球選手になったからには常にプレッシャーとの戦いなんです。だからこそそれをはねのける気持ちと準備は大事だと思っています。それで失敗するのは当然だと思いますし悔いの残さないようにという思いはあります。」

 ベテランだろうが経験値が高かろうがプレッシャーは常に付き物だ。その中で強いプレッシャーに打ち勝つための彼なりのマネジメント法があるという。

「僕は〝こうなりたい〟というイメージや想像が大事だと思っています。僕らは3割ヒット7割凡打の世界で生きているので、チャンスの時には良いことを想像していますね。ただ闇雲に打席に入ると失敗の7割になってしまう。最高の準備をしてベンチから打席まで良いことを思い描くことによって自然と体とか脳が動かしてくれるんです。やりたいことやなりたい姿を明確にすることは野球選手のみならず社会人の方みんなに言えることですね。」

プロ野球選手として大切にしている事

 野球をやっている人にとって誰しもが憧れるプロ野球選手という職業。それを自らの手で掴み取った訳だが、プロ野球選手として大切にしていることは何か聞いてみた。

「やっぱり小さい頃からの夢ですから、当時の気持ちを忘れないことですかね。初心を忘れないからこそ今こうやって活躍できていると思います。その上で野球選手は試合に出てなんですよね。どんなに苦しかったりキツイ状況でも応援してくれているファンの為にも試合に出続けないといけないと思っています。」

 松田は今シーズン3年連続となる全試合出場を果たした。143試合、毎日試合に出続けるという事はそう簡単にできることではないが、それを果たすために心掛けていることはなんなのか。

「まず自己管理をするというのは当然のことですね。あと、ここ5〜6年はずっと毎日同じことをする、同じリズム、ルーティーンの中で生活しています。試合前や試合後の時間の使い方も基本的には同じです。決められた時間に決められたことをやらないと気持ち悪いくらいです。」

 毎日同じリズムの中で生活する。これが松田が全試合出場を継続できる理由であった。

※インタビューは2017年12月に行われました。

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〔文/構成:ココカラネクスト編集部 〕

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