天才打者・中村紀洋 「剛速球が鉛のように重く感じた。そんな投手は1人だけ」と衝撃を受けた投手とは

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常時150キロを超える直球が「ゴー!」と地鳴りがするような音で向かってくる。ミートしても球が重いから打球が飛ばない


 中村紀洋です。連載企画3回目の今回は「衝撃を受けた球」について綴らせて頂きます。

 私は日米で23年間プレーしましたが、打った際に鉛のように重く感じた直球は伊良部秀輝さんただ1人でした。当時パ・リーグには速い球を投げる投手が数多くいました。その中でも当時・ロッテのエースだった伊良部さんは異質でした。近鉄時代に何度も対戦しましたが、常時150キロを超える直球が「ゴー!」と地鳴りがするような音で向かってくる。スピン量は松坂大輔投手の方が上だったと思います。大輔君の場合は「シュッ!」と手元で伸びる快速球でしたが、伊良部さんは違いました。ミートしても球が重いから打球が飛ばない。記憶の限りで1本だけ本塁打を打っていますが、この時も打った瞬間に藤井寺球場の左翼席中段に飛んだと思ったら、フェンスギリギリでした。あせって全力疾走したのを覚えています。

 独特の球質の剛速球に加えてフォークがあります。途中まで直球の回転でくるので見極めが難しい。今でいうスプリットのような球種で攻略が非常に難しい投手でした。対戦した当初はまだ制球が荒れていましたが、どんどんまとまっていきました。恵まれた体格から投げ込まれる球が注目されましたが、目に見えない部分で相当な努力もされていたと思います。

 当時戦った選手たちには特別な思いがあります。伊良部さんが7年前の11年7月27日に42歳の若さで亡くなられた時は本当にショックでした。理論派で一流の指導者になられたと思いますし、球界にとっても大きな損失だと思います。あんな凄い球を投げる投手は他にいません。僕も対戦した当時を振り返りながらもっと色々お話したかったです。


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[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

中村 紀洋(なかむら・のりひろ)

渋谷高で2年夏の90年に「4番・投手」で激戦区の大阪府予選を勝ち抜き、同校初の甲子園出場に導く。高校通算35本塁打。91年にドラフト4位で近鉄バファローズに入団し、「いてまえ打線」の4番として活躍した。00年に39本塁打、110打点で本塁打王、打点王を獲得。01年も132打点で2年連続打点王に輝き、チームを12年ぶりのリーグ優勝に導く。04年に日本代表でシドニー五輪に出場して銅メダルを獲得。メジャーリーグ挑戦を経て06年に日本球界復帰し、07年に中日で日本シリーズMVPを受賞した。13年にDeNAで通算2000安打を達成。15年に一般社団法人「N’s method」を設立し、独自のMethodで子ども達への野球指導、他種目アスリートを中心にトレーニング指導を行なっている。17年には静岡・浜松開誠館高校で硬式野球部の非常勤コーチに就任。高校生の指導に力を注ぐ。

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