長年控えの現役時代から名コーチへ 選手を惹きつけるコーチング能力

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個々の選手と2時間以上話し合う姿を何度も見てきた


 「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はヤクルトの三木肇2軍チーフコーチについてお話させて頂きます。

 三木コーチと出会ったのはヤクルトの2軍内野守備走塁コーチに就任した4年前の14年。私は2軍のコンディショニング・コーディネーターを担当していました。当時2軍のウォーミングアップで「あきらめない心を植え付けたい」と後半に行うダッシュの最後まで駆け抜けようという方針を徹底している時でした。三木コーチもその考えを技術面だけではなく、チームが取組む意識向上のため選手に技術コーチという側面からうまく伝えてもらい、指導方針の共有化を図ることができました。練習はマイペースで行いたいベテランもいます。その時は個別に呼び出して「これはチームの方針だから。おまえは若手の影響力もある。ダッシュもやってくれる姿勢を見せてほしい」と伝えていました。

 三木コーチのコーチング能力で勉強になったのは選手を導く力、すなわちコミュニケーション能力が非常に高いところ。コーチと選手は主従関係になりがちですが、三木さんは「やるのは選手だから」と責任感を持たせます。「これをやりなさい」ではなく、「こうやったらいいと思うけどどう?」と提案することで、選手も「それがいいのでやります」と自分の考えを発言でき、自発的に取り組む。そのため、もしできなかったときも「やるって言っていたことができていないよ」と指摘できる。選手も心に響くのだと思います。選手に自ら考えを持たせ、自発的な行動へ導く。こういったコーチングをするには常日頃からの選手との十分なコミュニケーションと日々の選手の意識、行動への観察が必要になります。それをまた、私を含めた各コーチ、スタッフとも方針を共有できるコーチング能力は私も勉強できました。

 指導も一つ一つが丁寧で細かい。走塁もどういう構えが走りやすいか、どういう足の運びが加速できるかなど選手と個別に話し合っていました。今ヤクルトの1軍で活躍している主力は三木コーチの指導を受けた選手が多いです。西浦など若手と1人1人、2時間以上も時折笑顔も交えながら室内練習場で話し合う姿を何度も見ました。

 現役時代は控えが大半の野球人生でしたが、その分控えの選手の気持ちが理解できたり、全員を同じ目標に向けて動かす能力に長けているのだと思います。私は国内ではロッテ、ヤクルト、DeNAと3球団でコンディショニングコーディネーターとして働いてきましたが、同じ指導する立場から三木コーチから学んだことは非常に多かったです。彼のようなコーチング能力に長けた人材がスポーツ界発展のために今後更に増えていくことを期待します。

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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

高橋 純一(たかはし・じゅんいち)

高橋 純一

MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。

J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)

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