ストレスを乗り越える仕事術vol.6 元DeNA・林昌範「自分が野球で成功したイメージはない。だから変なプライドもない」

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現在は船橋中央自動車学校の営業部長で集客の企画立案に多忙な日々

 元DeNA・林昌範は千葉県の船橋中央自動車学校の営業部長として今年1月から働いている。配車表、仕訳帳、公安委員会からの書類などに目を通して集客の企画立案する多忙な日々。「全然違う世界に飛び込んだので新鮮です。色々学べることをストレスと感じるかどうかじゃないですかね。自分が野球で成功したイメージを持っていない。だから変なプライドもないし新しい環境に沿おうと思っている。野球やっている時の方がよっぽどストレスを感じましたよ」と苦笑いを浮かべた。

喜怒哀楽を表に出さない


 野球人生の大半は中継ぎが持ち場だった。試合終盤に勝負の分岐点で登板し、痛打を浴びると戦犯になる。だが、翌日も試合があるため気持ちを切り替えなければいけない。「若い時は気持ちの浮き沈みが激しかった。抑えるとワーっとなって、ダメだったらこの世の終わりみたいに沈んで」。不安定な精神状態はパフォーマンスに直結した。調子が良い時は抑えられるが、悪いと修正がきかない。プロ4年目。救援登板した中日戦でタイロン・ウッズ内野手に逆転2ランを浴び、チームが敗れた。女房役の阿部慎之助捕手にかけられた言葉で目が覚めた。「おまえさ、ムラがあるよな。いいところで使ってもらっても周りも見ている。期待されているんだからどんな時も一生懸命投げろ」。どんな時も一生懸命投げているつもりだったが、精神的な甘さを見抜かれていた。後半戦に守護神に抜擢された際、阿部と「抑えても打たれても一喜一憂しない」と約束。打たれても調子が悪くても毅然とした態度で表情にも出さない。精神面で自分と戦う時間が減り、投球内容も安定した。

夜中の12時に気持ちを切り替える

 私生活からストレス対策に乗り出したのもこの時期だった。「マウンドでは表情に出さないけど打たれたらそりゃ落ち込みます。そういう時は反省して落ち込んでもいいと思います。ただ次の日に試合はやってくる。良い投球をしても悪い投球でも夜中の12時になったら全部忘れます。DVDを観たり野球とは一切関係ない趣味に時間を作る。漫画も野球関係は読みません。寝る前に野球と関係ないことをするのが大事なんです」。午前12時になった瞬間に簡単に忘れられるわけではない。だが、時間を区切って気持ちを切り替えようという意識が重要だという。「夜中の12時まで逆算して反省しようとするんですよね。時間を区切ることで冷静にもなれる。続けていればルーティンにもなる。ああ、12時だ、忘れようと」。打たれても翌日は全く変わらない様子で球場に現れる。ストレスに向き合い、マインドコントロールしていた証といえる。

コミュニケーションを積極的に取ること

 野球人生で最も重圧を感じたのは08年オフに日本ハムにトレードされた時だという。高卒のドラフト7位で入団した巨人時代は怖いもの知らずで投げていたが、日本ハムでは期待値が高い状況で迎えられた。結果を出さなけれないけない焦りが悪循環を呼んだ。2月のキャンプ終盤に首痛でファーム降格。開幕に間に合わず、1軍初登板の09年5月2日の楽天戦で1イニング目に失点。ベンチに戻ると梨田昌孝監督(現楽天監督)に声をかけられた。「何で苦しそうに投げているんだ。もっと楽しそうに投げろよ」。巨人時代は重圧と戦って楽しむ余裕などなかっただけに目から鱗が落ちた。痛打を浴びて降板した際も、同僚の稲葉篤紀(現日本代表監督)に「なに落ち込んでいるんだよ。次にやり返せばいいだろ」と話しかけられた。「ストレスを抱えている時って人の言葉でガラッと変わる。人と触れたほうが絶対いい。巨人時代も阿部さんが声をかけてくれたからマウンドで一人と感じる時はなかった。僕もストレスを抱えている人に気づいてわかってあげられる人間にもなりたい」と力説する。

 ストレスと戦った野球界の経験は教習所でも生きている。「コミュニケーションは積極的にとるように心がけています。指導員の方から言葉の伝え方など学ぶことは多い。千葉で1番お客さんが集まる教習所にするため僕もやれる限りのことをしたい。現役選手のユニホームを教習所内に展示したり、野球教室で子供たちに触れ合ったり。元プロ野球選手がいるからあの教習所で将来免許を取りたいと思ってもらえれば」。新たなフィールドでも毎日が全力投球だ。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

林 昌範(はやし・まさのり)

1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの34歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。

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