神戸Sが“守備的ラグビー”で頂点へ S東京ベイとの激戦を制しリーグワン初優勝
この時点でゲームの流れは徐々に神戸Sに傾いていったようだ。前半、S東京ベイの守備は今季最高と言って良いほどの出来で神戸Sの攻撃を封じていたが、それでも神戸Sの圧倒的な運動量はS東京ベイに少しづつだが確実にダメージを蓄積させていたのだ。後半に入ってからもS東京ベイの守備陣は大きな破綻を来さず、トライこそ許さなかったが、通常の試合に比べ、攻撃時の各選手の集散がほんの少し遅くなり、ボールキャリアーが孤立してスティールを喰らう場面が散見された。神戸Sのフィットネスの高さは、この試合に関しては守備面でしっかりと発揮され、S東京ベイの攻撃を切り返すことに成功していた。後半の得点は神戸SのPG3本のみ。ディフェンスで相手のミスを誘い、PGで得点差を広げるという、S東京ベイのプレースタイルを実現できていたのは、皮肉にも相手の神戸Sの方だったのだ。
マルコム・マークス、タイラー・ポール、藤原忍らをケガで欠いたS東京ベイは「代役」の選手が期待以上の働きをみせ、決勝の場にまで勝ち上がってきたが、最後は文字通り力が尽きた。勝利の瞬間には飛び跳ねて喜ぶ選手が大半だった神戸Sもそのあとは多くの選手がグラウンドに座り込み、涙を流した。双方が死力を尽くした、日本一を決定するにふさわしい熱戦だった。
神戸Sはこの試合を最後に、オールブラックスの指揮官への就任が決まっているデイブ・レニーHC、攻守の要だったFLアーディ・サベアが退団する。来季も今季のような圧倒的な攻撃力が維持できるのか、あるいはさらなる進化を遂げるのか。上位チームの巻き返しはどうか、下位から台頭してくるチームがあるのか。開始5シーズンで4チームが優勝と、猫の目のように王座が変わる戦国リーグ。早くも来季が楽しみだ。
[文:江良与一]
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