中村紀洋が中日・松坂大輔に抱く特別な思い「体がボロボロになっても名球会に入れるまで頑張ってほしい」

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今季初登板は現状で精一杯投げた。普通の投手だったらあの展開は7、8点取られている。


 中村紀洋です。読者の皆さんに喜んで頂けたらありがたいと思い、連載記事の依頼を引き受けさせて頂きました。

 今回はかつてライバルとしてしのぎを削った「中日・松坂大輔」への思いを綴らせて頂きます。

 大輔が先発登板した5日の巨人戦(ナゴヤドーム)はテレビで観ました。凄く良い投球だったと思います。もちろん、全盛期のフォームとは違います。ただ現状で精一杯投げたのではないでしょうか。ピンチの連続だったけど技術を使って三振を取ったり凡打に仕留めたり。普通の投手だったらあの展開は7、8点取られている。大輔はメジャーでの経験もあるし抑える術を知っている。失策がらみで3失点に抑えたのは次につながると思います。

 僕が近鉄時代、彼との対戦は特別でした。試合の勝敗関わらず対戦が楽しみな唯一の投手でした。抑えられたから悔しいわけでなく、ホームラン打ったから勝ったとかの次元でない。試合が終わると「次、いつ戦えるんだろう」と心待ちにする初めての投手でした。唯一勝敗にこだわったのはリーグ優勝した01年9月24日の西武戦(大阪ドーム)で打ったサヨナラ逆転2ラン。あの時だけは「よし!」と思いました。

 ケガもあったし、納得しきれない思いもあったと思う。その気持ちがあったらユニフォームを脱いだらダメ。体がボロボロになるまでとことんやって、名球会に入れるまで頑張ってほしい。今年が勝負です。今年勝てば名球会も見えてくる。不思議な縁で大輔の背番号「99」は僕が中日在籍時につけていた番号です。今季初登板のあの大歓声はドラゴンズの一員として認められた証だと思います。2月のキャンプインから松坂フィーバーになっている。中7日か中10日かわからないけど先発ローテーションでしっかり投げれば、ドラゴンズファンは熱くなる。最後までマウンドに立ち続けてほしいですね。


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[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

中村 紀洋(なかむら・のりひろ)

渋谷高で2年夏の90年に「4番・投手」で激戦区の大阪府予選を勝ち抜き、同校初の甲子園出場に導く。高校通算35本塁打。91年にドラフト4位で近鉄バファローズに入団し、「いてまえ打線」の4番として活躍した。00年に39本塁打、110打点で本塁打王、打点王を獲得。01年も132打点で2年連続打点王に輝き、チームを12年ぶりのリーグ優勝に導く。04年に日本代表でシドニー五輪に出場して銅メダルを獲得。メジャーリーグ挑戦を経て06年に日本球界復帰し、07年に中日で日本シリーズMVPを受賞した。13年にDeNAで通算2000安打を達成。15年に一般社団法人「N’s method」を設立し、独自のMethodで子ども達への野球指導、他種目アスリートを中心にトレーニング指導を行なっている。17年には静岡・浜松開誠館高校で硬式野球部の非常勤コーチに就任。高校生の指導に力を注ぐ。

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