ストレスを乗り越える仕事術vol.2 元DeNA・小杉陽太「本当に辛かったら逃げていいと思う。人生は何度もやり直せる」

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野球を辞めてバイト生活で自分を見つめなおした時期も


 プロ野球での現役生活を9年で終えて、小杉陽太(32)は起業という道を決断した。昨年10月15日にDeNAから戦力外を受けると、1か月も経たず11月1日にイベント会社「l’unique(リュニック)」を設立。取締役社長でイベントの企画・運営、商品のPR,サンプリング業、インバウンド婚にも携わるなど仕事内容は多岐に及ぶ。

「人と人の絆を大事にしたい。今の時代はつながっていることに対価を求めている。ただ商品を売るだけの一方通行ではダメ。DeNAが良いお手本ですね。球場でイベントを次々仕掛けてお客さんも参加できる空間を作っている。僕も幸福感を共有できる時間や場所を作りたい」。新たな世界での挑戦には重圧やストレスが伴う。小杉の対処法は自身の生きざまに投影された方法論で説得力があった。

本当に辛かったら逃げる

 順風満帆な野球人生ではない。野球から離れた時期があった。亜大2年の3月に退部。度重なる故障で結果が出ない。大好きな野球を惰性で続けたくなかった。夜中に大学の寮から抜け出すと二度と戻らなかった。ファーストフード店「フレッシュネスバーガー」で働き、友達と朝まで酒を飲む生活の繰り返し。「野球を忘れたくてそういう生活をしていた部分がある。ただすぐ飽きるんです。刺激がないから。マウンドに上がればストレスもあったけど刺激もある。もう一回野球をやりたい気持ちになれた」と振り返る。母校・二松学舎で練習を再開。社会人の強豪・JR東日本の堀井哲也監督に見出されてプロ野球への道が開けた。「ストレスで自分の命を落とす人もいる。本当に辛かったら逃げてもいいと思う。ため込みすぎると苦しくなる。引き出しを持って入れたり抜いたりを繰り返して波は保たれるのかなと。僕ももう一度野球に戻った。人生は何度もやり直せる」と言葉に力を込めた。

相手の好きな部分を見つけて言葉に出す

 学校、職場での人間関係に悩む人は多い。相性が合わない人間もいる。野球の世界も例外ではない。野球に集中するためにも人間環境のストレスをグラウンドに持ち込みたくない。小杉が亜大を中退してJR東日本に入社したのは20歳。周囲はみな年上で仕事をしながら野球していた。初めての環境で適応が求められる中、自分から周囲に溶け込み充実した2年間を過ごした。「僕の得意技なのですが人を好きになることですね。無理やりでもいいんです。人間関係で好き嫌いは当然あります。ただ好きな部分を声に出して相手に伝えると悪い気はしない。みんながみんな仲良いではないですけど、仲が悪いとかあまりないですね。ストレスをため込まないためにもまず人の好きな部分を見つけるのはおすすめです」話す。世代間や育った環境での価値観のズレが元で相手を遠ざけることも珍しくない。好きな部分を見つけて声を掛けることは人間関係を円滑にする手助けになるかもしれない。

好きなことに没頭して突き抜ける

 母・弘子さん(55)がバスケットの実業団でプレーするなど家族、親戚が皆バスケットの実力者だった。小杉も幼少の時からバスケットをやっていたが、小6で友達から人数合わせで誘われた少年野球の試合に出場。初めて出た試合でいきなり右翼に本塁打を打ったのが人生のターニングポイントになった。「親は反対しましたよ。バスケをやらせたかったから。でも野球がしたい」と意思を貫いた。自分の好きなことをやりぬく覚悟はスポーツだけに当てはまらない。「ストレスが原因で自宅に引きこもる人もいると思うんです。人間関係、仕事での挫折、原因は色々だけど考えても仕方ない。それなら引きこもってやっているゲームを職にするぐらいの気持ちで極めればいい。表に出てこなくていいから生きている術を見つければいい。好きなゲームの祭典があれば外に出るきっかけになるかもしれない」。大事なのはストレスの原因を突き詰めて自己嫌悪にならないこと。趣味への没頭は気持ちが晴れるきっかけになる。

 前向きな言葉を並べる小杉もプロ野球とは全く違う環境で重圧やストレスは当然感じている。「不安はありますよ。先が見えないなって。でも興味あることはトライしていこうと。『できるできない』でなく、『やるかやらないか』。無理だよって言われてもやらなきゃわからないですしね」。野球人生も紆余曲折を経て夢を叶えてきた。第2の人生も起業家としての成功を目指す。

■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

小杉 陽太 (こすぎ・ようた)

1985年12月8日、東京都江東区生まれの32歳。
二松学舎から亜大に進学するが2年時に中退。JR東日本を経て08年ドラフト5巡目で横浜(現・DeNA)に入団。10年8月11日の中日戦でプロ初勝利をマーク。15年にロングリリーフで活躍するなど自己最多の27試合に登板。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は86試合登板で6勝9敗2ホールド、防御率5・04。187センチ、78キロ。右投右打。

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