心が軽くなるメンタルケア(第2回) 人との関わり、敵なの、味方なの?

2017.09.19

ストレス反応はコントロールできない。どう感じるか、だけはコントロールできる。

心が軽くなるメンタルケア

 前回(心が軽くなるメンタルケア)まではストレスとは身、心に入る光、音、匂い、温度、食事、会話、吸気、触る等、全ての刺激、エネルギーということをお伝えしました。これには良いも、悪いもありません。このストレスに身と心はフィルタをかけて受け取ります。ほとんどのストレスはフィルタの使い方で「良いモノ」にできます。どうしても対応困難なストレスの多くは「エネルギー不足」つまり「疲れている」状態です。

同じ「熱い」刺激でも、怒りになったりならない場合がある。これがフィルタの働き

 例えば熱い物を誤って触ったときには「手をどける」ことをします。この原因が自分のかわいい子供や孫だとしたら「手をどける」は「怒り」にはなりません。しかし、もし自分のライバルなどにやられたことが原因だとしたら「手をどける」=「怒り」になりますよね。

 これがストレスに反応している「フィルタ」です。同じ「熱い」ストレスからつながるのは「手をどける」であり、「怒り」とは違いますよね。このように人は直接的な一次反応と、感情・行動を伴う二次反応をくっつけて考えがちです。

 相手との関係性が悪い中で起こる事に対し、脳は自分の考えに近いものを重視してしまいます(confirmation bias: Hiner,A. (2016). Truth-seeking VersusConfirmation Bias.)。これは誰でもありますが、成熟や練習によって完全ではないけど克服できます。ちょっと考えれば「手をどける」≠「怒り」ということはわかりますよね。このフィルタの使い方は練習によって誰でもできるようになるといわれています。もちろん、ヨガ・瞑想などはこの練習になるでしょう。

フィルタにもエネルギーが必要だから疲れると働きが鈍くなる

 また、第1回でもお話ししたように、ストレスはフィルタをかけられますが、消耗は休むしかありません。面白いことに、このフィルタにもエネルギーが必要です。あまり疲れすぎている時には、”しあわせフィルタ“も働きが鈍くなっちゃいます。

 自制心は有限で、筋肉と同じで、ずっと走り続けることはできないんです(egodepletion: 自我の消耗, Psychol Res.2017 Apr 8.)。美味しいものや楽しいことが人生を豊かにしてくれるのではなく、これら「休息」によってしあわせフィルタをポジティブに働かせるから豊かに感じるのです。
くれぐれも、「美味しいもの」や「楽しい」=「しあわせ」と勘違いしないでください。

 まとめますと、ストレスから来るものはイイモノでもワルモノでもありません。これを自分のフィルタで「静観・観察」し、「ストレス」≠「感情・行動」とならないことにより「幸福」と考えるのでしょう。

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 ※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

 〔文:鳥居京子(麻布十番メンタルケアクリニック院長/構成:ココカラネクスト編集部 〕

鳥居京子(とりい・きょうこ)

鳥居京子(とりい・きょうこ)

日本医科大学精神神経医学教室、研修を経て日本医科大学千葉北総病院、医療法人緑光会東松山病院、埼玉精神神経センター、飯能老年病センター、医療法人松崎病院、医療法人社団碧水会長谷川病院、医療法人壽鶴会東武中央病院などに勤務。
資格■
精神保健指定医/精神科専門医/日本医師会認定産業医
麻布十番メンタルケアクリニックHP=http://www.azabu-mentalcare.jp

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