女性アスリートに必要な栄養~女子野球 六角彩子選手

2017.10.03

女性アスリートを成功に導く栄養素は何か?

六角彩子選手

 日本女子野球トッププレーヤーの六角彩子選手と、食事面のアドバイスをしているアスリートフードマイスターの落合千賀子さん。今回の「アスリート×サポートスタッフ」対談テーマは「必要な栄養」です。

特に鉄分を意識して「アスリートの体に必要なもの」がとれるように

 六角  落合さんには、食事面でサポートをしてもらっています。写メを撮って送り、アドバイスをいただいています。

 落合  きっかけは六角さんの所属するチームスタッフに知り合いがいて、食事の勉強会をしたんです。その縁で声をかけたら「やります!」となりました。最初は全部炭水化物とか、緑色のものが全然なかったけど、だんだん彩りが良くなってきた。少しずつ、いろんなものを意識して食べるようになってきました。

 六角  すごく効果を実感しています。アドバイスがない時でも、自分で意識するようになってきた。たとえば焼き鳥を食べにいったら、鉄分の多いレバーを頼むとか。前はなんでも好きなものを食べていましたが、今はプラスして「体に必要なもの」をとるようにしています。

六角彩子選手

 落合  鉄分は大事です。女性アスリートはとくに鉄欠乏性貧血になる人が多い。体に酸素がいき渡らないので息切れとか、つらい症状が長く続く。気づかない選手も多く、一旦その症状になったら、治りにくい。鉄剤を服用する場合もあるが、食事から鉄分を摂る方が安全です。鉄分を多く含む食材はレバーや赤身の魚はもちろんですが、ほうれん草や小松菜。レンズ豆は乾物で置いておくと日持ちするし、スープに手軽に入れたりできて便利です。カルディ(KALDI)というショップで売っていますよ。

アスリートにもっとも必要なエネルギー源=炭水化物を上手にとって体力と集中力アップを実感!

 六角  毎月送るデータでも、体脂肪率とか筋肉量とか数字を見ても変化を感じます。肉が好きなので、家で料理するときは肉じゃが、肉野菜炒めとか、野菜を入れます。試合は暑いなかでやるので、体力がなくなってくると集中力もなくなってくる。必要な栄養をとることで、集中力が増し、体が以前より動きやすくなりました。

 落合  最近、糖質制限や糖質オフという言葉を耳にしますが、エネルギーが足りなくなるとたんぱく質を使ってしまうので、アスリートにもっとも必要なエネルギー源である糖質はしっかり摂って欲しい。また、送られてくる写真を見るとお肉が多いので、私は朝昼晩のどこでも良いので、良質な脂のとれる魚を入れるよう勧めています。ごはんは太りません。そんな10杯も食べられないですよね。食物繊維やタンパク質も入っている。ごはんと納豆は、1週間に3回くらい食べてほしいくらい組み合わせです。玄米は消化が悪いので、アスリートには向きません。

六角彩子選手

 六角  炭水化物は、大好きなごはんでとっています。基本は3食ごはん。必要な栄養をとることで、試合で集中力が続くようになって、すごく効果を感じています。

 落合  私自身、学生時代にソフトボールをしていたんですが、食の楽しみが何もなかったんです。トップアスリートなのに食事がひどい人は今もたくさんいて、サポートしたい思いがありました。六角さんのチーム全員を見ることはできないけど、スター選手で影響力のある彼女が変われば、きっとチームも変わるんじゃないか、という思いもあります。女性アスリートの現役生活は短い。少しでもバックアップできればと思っています。

 ※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

 〔文/構成:ココカラネクスト編集部 〕

六角 彩子(ろっかく・あやこ)

1991年10月24日、茨城県生まれ。日本代表で活躍中の内野手。女子野球W杯で優勝した2010年、国際野球連盟MVPに選出された。埼玉栄―帝京平成大。現在はクラブチーム「侍」所属。右投げ右打ち。157センチ。

落合千賀子(おちあい・ちがこ)

アスリートフードマイスター2級。スポーツ選手への栄養指導や講演などを行う。東京女子体育大で教員免許取得。ソフトボールで国体出場経験あり。

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