敵地総立ちの大ブーイングに、ふっと笑み――「俺、いらないらしいよ」大谷翔平が楽しんだ“ヒリヒリする舞台”【ドジャース回顧録vol.14】
その模様が全米中継のカメラに映し出されると、SNSは即座に反応。「この状況でジョークを飛ばせるのか」「メンタルが異次元」と驚きの声が広がった。敵であるはずのゲレーロJr.も思わず爆笑し、殺伐とした空気が一瞬にして和やかなものへと変わった。
ブルージェイズのジョージ・スプリンガーが「まぁ、ショウヘイ・オオタニだからね」と苦笑いした通り、その存在感はもはやブーイングすらも演出の一部に変えてしまうほど圧倒的だった。
かつてエンゼルス時代、勝利から遠ざかるチームの中で大谷は「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と漏らしていた。
2025年、彼はその言葉通り、あるいはそれ以上の環境を手に入れた。ワールドシリーズ初本塁打を放ってもなお大敗する厳しさ、そして敵地のファンから一斉に敵意を向けられる孤独。しかし、それを「面白い」と言わんばかりに笑い飛ばす姿は、彼が単なるスター選手ではなく、勝負の極限状態を愛する真のプロフェッショナルであることを証明していた。
この試合、ドジャースは4-11で大敗を喫したが、大谷が見せたあの笑顔は、チームが決して精神的に屈していないことを示す無言のメッセージでもあった。
あのワールドシリーズを振り返る時、我々は改めて気づかされる。大谷翔平が求めていたのは、称賛ばかりの舞台ではなく、こうした剥き出しの感情がぶつかり合う「本物の勝負」だったのだということに。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】タッカー、ドジャースと高額年俸の短期契約で“決着”か「3連覇という偉業に貢献できるチャンスがある」米メディア
【関連記事】ドジャース、走攻守で魅力の二塁手獲得でキム・ヘソンらを放出…“驚愕プラン”を提案「常勝軍団としての文化に合致」米メディア
【関連記事】ド軍24歳“有望株”はレギュラーを奪い取れるか? 「彼はスイッチヒッターだが…」克服すべき懸念材料を指摘






