“リスク”を恐れずに佐々木麟太郎獲りに動いたソフトバンクの評価は? 「打てる捕手」を指名した西武が広げた可能性【ドラフト総評/パ・リーグ編】
ソフトバンクに1位指名された佐々木(C)Getty Images
オリックスの“独自戦略”は面白いが…
去る10月23日に行われたプロ野球のドラフト会議では、支配下で73人、育成で43人の合計116人が指名を受けた。
今年もさまざまなドラマを生んだドラフトにあって、果たしてどの球団の指名が優れていたのか。「即戦力」「将来性」「戦略」の観点と、それらを総合した評価について、A、B、Cの3段階で採点したいと思う。今回はパ・リーグの6球団を掘り下げる。
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【ソフトバンク】
即戦力:B
将来性:B
戦略:B
総合:B
1位では佐々木麟太郎(スタンフォード大・内野手)を指名。DeNAとの抽選の末に見事に引き当てた。メジャーリーグ挑戦を目指す本人の可能性を考えれば、入団辞退のリスクも大きいが、野手の太い柱となる選手が必要なチーム事情と、佐々木の打者としてのスケールを考えると、この思い切った姿勢は高く評価したい。
また、5位で社会人屈指の強打者である高橋隆慶(JR東日本・内野手)を指名してリスクヘッジした点も評価できる。大学生投手の3人は1つずつ順位が高いようにも見えたが、稲川竜汰(九州共立大・投手)と相良雅斗(岐阜協立大・投手)は将来性の高さ、鈴木豪太(大阪商業大・投手)は数の少ない本格派サイドスローということで特徴が分かりやすい指名だった。
【日本ハム】
即戦力:B
将来性:B
戦略:C
総合:C
1位で2度の抽選を外して大川慈英(明治大・投手)を指名。リリーフの即戦力投手が欲しいというチーム事情は分かるが、万全な成績をあげたのは4年秋だけであり、高校時代からの成長度合いが期待されたほどではなかったことを考えると、1位という指名には疑問が残り、その点が低い評価となった。
一方で2位のエドポロ・ケイン(大阪学院大・外野手)はスケールの大きさと長打力、3位の大塚瑠晏(東海大・内野手)は、即戦力水準の守備力と特長のある野手を指名できた点はプラスだ。昨年が投手中心の指名だった傾向を考えると、2年で見た時のバランスは悪くなかった。
【オリックス】
即戦力:C
将来性:A
戦略:C
総合:C
1位で石垣元気(健大高崎・投手)を外し、同じ高校生右腕の藤川敦也(延岡学園・投手)を指名。藤川も将来性のある投手だが、石垣と比べるとかなり評価が落ちる印象で、1位に繰り上げた点は疑問が残る。
2位から4位までも高校生を並べたが、順位的に違和感がなかったの、は2位の森陽樹(大阪桐蔭・投手)だけという印象だ。高校生の有望株が少ないからこそ、逆に高校生を多く指名するという独自戦略は面白いが、チーム事情や大学生にも将来性の高い選手が多かった今ドラフトの顔ぶれを考えると、もう少しシンプルに成功する確率が高そうな選手を狙った方が良かったのではないだろうか。






