なぜ崖っぷちの角田裕毅は王者フェルスタッペンを“超えたのか” 快走を物語った重鎮マルコの証言「ユウキにはマックスに迫る競争力があった」
最終決定を前に高まる声価
近走での角田は苦戦を“強いられてきた”。
というのも、公式予選、そして決勝でクルーが初歩的なミスを連発していたからだ。前戦のラスベガスGPでは予選で陣営スタッツがタイヤの空気圧調整を誤るという初歩的な失態を犯し、「基本中の基本のことで全く的外れだった。ちっぽけなことを言っているわけでもないよ。あれで戦えるチャンスが大幅に減った」と嘆くしかない事態となっていた。
自分がコントロールできる範囲外で起き続けたトラブルに結果を左右され、大きな後退を余儀なくされた。ゆえに「とにかくワクワクしている」との言葉には、理想的な滑り出しを切れた現状に対する晴れやかな想いが滲み出たと言えよう。
センセーショナルな走りを見せた角田。今季限りで満了を迎える契約を巡っては、最終的決定時期が、今回のカタールGP直後へと変更となった。すでに首脳陣の間では、「既定路線」と伝えられる新人アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)の昇格など、何らかの「答え」が下されているのは想像に難くない。しかし、ドーハでの継続的なパフォーマンス次第では、何らかの影響が出る可能性も捨てきれない。
実際、首脳陣から奔走する角田を評価する声も上がっている。レッドブルのチームアドバイザーを務める“重鎮”ヘルムート・マルコ氏は、米モータースポーツ専門メディア『専門メディア『Motorsport.com』において「カタールで急に速くなったというわけではないだろう。ラスベガスでもユウキはマックスに迫る競争力があった」と力説。そして、こう続けている。
「カタールでは我々のクルーがタイヤの空気圧を誤って設定したために、レースのウイークエンドを台無しにしてしまったんだ。ただ、そうしたトラブルの最中でも、ユウキはあらゆるチャレンジを積極的にし、技術面を含めてパフォーマンスレベルが着実に上がっていた。最近の走りはマシンに慣れつつある証拠だ」
また、マルコ氏は、フェルスタッペンが今予選中にフロントグリップの改良を求めたのに対し、角田が“逆”のリアエンドの改良を求めたと証言。「詳細な理由は探る必要があるが、ユウキが求めていたアプローチの方が正しかったし、効果的だった」とコメントした。
時に「ツノダはあまりにもポイントを取れなさすぎる」とシビアな意見を寄せ、角田自身も「何が悪かったかをズバッと言ってくる」と表現する冷徹さを持つマルコ氏。そんな重鎮からの賛辞は、あくまで現段階においてはポジティブに捉えていいだろう。
追い詰められながらももがく角田は、来季去就の最終的決定を前にどこまで爪痕を残せるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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