“酷い試合”で真価を発揮 世界王座に返り咲いたフルトンを米記者が激賞「イノウエ戦で尽き果てたと疑問視する人もいた」

フィゲロアをパンチ数などで圧倒したフルトン。(C)Getty Images
見どころの少なさにブーイングも飛んだ。それでも米ボクシング界屈指の名手は、世界王座を再び掴んだ。
現地時間2月1日、米ネバダ州ラスベガスでボクシングのWBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦が行われ、同級2位のスティーブン・フルトンが、王者ブランドン・フィゲロア(ともに米国)に判定勝ち(116-112×2、117-111)。2023年8月にスーパーバンタム級で井上尚弥(大橋)に敗れて以来となる約2年半ぶりの世界王者となった。
決してド派手な奪還劇ではなかった。序盤から果敢に前に出て、近距離戦に持ち込んだフィゲロアを巧みにいなしたフルトンは、終始主導権を掌握。身体を寄せられる場面が目立ったが、アッパーとフックを確実に当ててポイントを稼ぐ。そして12ラウンドを通して相手に反撃の隙を与えなかった30歳は、パンチの着弾数でも圧倒。派手な打ち合いを望んだファンからはブーイングも飛んだが、それでもブレずに試合を進めて、勝利を手にした。
真骨頂とも言える巧みなスキルと、高いボクシングIQを存分に見せつけたフルトン。玄人好みな試合展開ではあったが、王者に差をつけた内容に現地記者からは太鼓判が押された。
米専門メディア『FightHype.com』のレポーターで、厳格な全米ボクシング記者協会(BWAA)の会員でもあるショーン・ジッテル氏は自身のXで「これは醜い試合だった」と率直に指摘。その上で、王座をもぎ取ったフルトンを称賛した。