監督の“理想像”だった三浦大輔が背負い続けた「責任」 DeNA側近たちが証言する舞台裏の葛藤「どうしたら勝てる環境になるのか」【独占】

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ファンからも信頼を集めた三浦の放った輝きは、最後まで眩かった(C)萩原孝弘

信じるこころが産む一体感。追い求めた「野球」とは

 現役時代から「やられたら、やり返す」を心の中に持ち続ける三浦の原点は、指揮官になっても表現され続け、自然と選手にも植え付けられていった。

「選手には普段から『ミスをしても切り替えなさい』と言われてましたね」と回想する靏岡コーチも「ミスしたからあいつは次の試合もダメだということはなく、また次の試合にもチャンスを与えていました。そういうメッセージを選手に込めながら、信じるときには一貫してその打順や守備に据え続けていましたね。信念のある方だなと近くで見ながら感じていました」と語る。

 三浦はアマチュアとは違い、何度も難敵と対戦する機会があるプロで生き抜く心得を、指揮を通じて落とし込んでいった。そうした姿勢があったからこそ、敗戦時には「自分の責任」と背負い続け、決して選手のせいにはしなかったことも頷ける。

 ただし、辞任を決めた最大理由である、『リーグ優勝の目標には届かなかった』という事実は消えない。「やはり最後は監督がジャッジしますからね。負けたらやり玉になることはありますね」とそこの部分にはコーチ陣も異論はない。

 ただ、常にフレキシブルな形で最善策を探り続けたことは事実と、側近は言葉を紡いだ

「内部にしかわからない選手の怪我の具合や、ポジションの関連性もありました。そこで歯車が狂いそうになったところで、耐えながら勝ちに対しての執着を持って、かなりフットワーク軽く対応していただいていました」

 三浦が指揮官として求め続けた野球とは、選手、コーチ、スタッフが100%のパフォーマンスを発揮しやすいステージを用意し、ベクトルを一致させる。そして勝ち負けの責任を自ら負って、集約した叡智を基に起用した選手を信頼する。そこに集約されるのではないか。

 343勝342敗30引き分け。チームだけでなく横浜の街をも結束させた“番長”の放った輝きは、最後まで眩しかった。

[取材・文/萩原孝弘]

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