「ロッテの象徴」だった成瀬と西岡…早熟型が30代も活躍し続ける難しさ
「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は今季限りでヤクルトを退団した成瀬善久投手、阪神を退団した西岡剛内野手についてお話させて頂きます。
両選手が自由契約になったという報道を聞いて複雑な気持ちになりました。私は05年から2年間、ロッテの1軍コンディショニングコーディネーターで携わっていました。03年ドラフト6位で入団した成瀬投手は、若手の当時から物おじしない堂々としたマウンドさばきで相手を圧倒する投手でした。自分に対して絶対的な自信があったのでしょう。下位指名で入り、反骨精神も強かったと思います。07年に16勝1敗、防御率1.82で最優秀防御率を獲得。09~12年に4年連続2桁勝利とエースの座を確立し、マウンドでは王様のような振る舞いで頼もしさを感じました。西岡選手はまさに「スピードスター」。バレンタイン監督の野球観ともマッチしたのでしょう。野球センスの塊でリードオフマンとして打線を牽引。05、06年と2年連続盗塁王を獲得、10年には打率・346で首位打者を獲得しました。
成瀬投手、西岡選手は共に高卒入団で20代前半からフル回転で活躍しています。主軸として試合に出続けて心身をすり減らしてきているため勤続疲労は多分にあると思います。20代で大活躍した「早熟型」と言われる選手が30代になっても猛者達がひしめきあうプロの世界で活躍し続けるのは身体的、精神的な消耗により非常に難しいように感じます。まさに、身を削って彼らは戦い続けていたように感じました。改めて早期から活躍する才能あふれる選手の「育成」へのアプローチの難しさを実感しています。若手時代に身体の土台作りとなる基礎トレーニングをどのように組み込んでいくか。将来を見据えた考え方を持てる能力の構築も我々トレーニング指導者の永遠の課題であり、使命だと考えています。
両選手とも来季以降の現役続行を希望しています。グラウンドでもう一花咲かせることを同じチームで時間を共にした仲間として心から願っています。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
高橋 純一(たかはし・じゅんいち)
MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。
J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)