正念場となる8月はどう戦う? 2度の“ライデル撃破”を見せた井上中日 Aクラス入りのキーマンは「強打の三塁手」
大型連勝もあった7月の中日。その勢いは8月以降も続くか(C)産経新聞社
ジェットコースターのような1か月が終わった。
7月31日、中日は巨人とのシリーズ最終戦を延長サヨナラで勝ち切った。これで7月の月間成績は10勝11敗。連勝と連敗が続いた1か月のラストゲームも終盤のビハインドを跳ね返す劇的な展開となり、感情の浮き沈みが激しくなったファンも少なくなかったのではないか。
本稿では、浮き沈みのあった中日の7月を振り返りつつ、8月の展望を綴ってみたい。
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月の初めは悲惨だった。1勝を挟んで2度の3連敗。最大借金「11」まで膨れ上がったのが7月8日、山形で金丸夢斗のプロ初勝利が9回にスルりと抜けた試合だった。この時はクローザーの松山晋也が離脱した直後で、投打も噛み合わず……。早々とAクラス入りの想いも潰えた予感すらあった。
そんな危機的状況を救ったのは主砲のバットだった。4番に座る細川成也である。9日に福島で行われた巨人戦、9回ニ死フルカウントから起死回生の逆転3ランをぶっ放した。しかも昨季まで中日にいたライデル・マルティネスからの一発。チームに関わる誰もが快哉を叫んだ。
この一発で息を吹き返した中日は19日のDeNA戦まで怒涛の7連勝。期間中は大野雄大の完投勝利やジェイソン・ボスラーのサヨナラ打、エース・髙橋宏斗の今季初完封と“主力”がこぞって活躍した。
ただ、20日の試合を延長戦の末に落とすと、翌日も敗戦。オールスター明け、神宮でのヤクルト戦でも2連敗と勢いが削がれてしまった。
そんな中で迎えた7月最後のカードが本拠地での巨人戦。上位進出のためには、2位につける強敵を叩くのは必須だった。
初戦はボスラーと岡林勇希の本塁打などで8-5と競り勝った中日だったが、2戦目は柳裕也が粘りきれず0-2と完封負け。勝ち越しをかけた3戦目も、新外国人のマイケル・チェイビスが来日初アーチを架けながら、金丸が打ち込まれてビハインドの展開が続いた。
2点を追う9回、相手のマウンドはR・マルティネス。さすがに敗色濃厚かと思われたが、先頭のボスラーが二塁打で出塁。さらに細川が福島の歓喜を再現するかのような同点2ラン。主砲が再び「ライデル撃ち」に成功すると、延長10回にボスラーが試合を決める犠飛を放ってサヨナラ勝ち。見事にカード勝ち越しを決めたのだった。






