【エディージャパン検証】「超速ラグビー」の理想型を”見せつけられた”フランス戦 集散で負けては勝負にならない
ジャパンは様々に仕掛けて何とか突破口を開こうとするのだが、フランス防御網は慌てず騒がずといった風情で、ボールキャリアーを確実に潰していき、シェイプアタックでも、キック処理後のカウンターアタックでも、ジャパンに有効な攻撃をほとんどさせなかった。特に前半はボールキャリアーへのフォローが遅れがちで、殺到してきたフランスに密集でターンオーバーを喰らうシーンが再三見られた。個々のフィジカルで劣る分、スピードとフィットネスで対抗しようというのが基本的なコンセプトのチームが集散で負けていては文字通り勝負にならない。
後半になってようやく反撃らしい反撃が出始めたジャパンは10分にCTBディラン・ライリーの突破からオフロードパスを繋いで、最後にSO立川理道がゴール左隅に飛び込んでトライを奪うが、意図したプレーが結実したのはこれ1回だけ。21分のテビタ・タタフのインターセプトからのトライは一か八かのディフェンスがたまたまうまくハマった、いわばラッキーパンチ的なもの。そうそううまくいく場面が出るとは思えない。
最終的には8トライ6ゴールを奪われた。ディフェンス網が完全に破綻した文字通りの完敗だった。素早いプレーを連続させて、相手のディフェンス網を置き去りにするような展開でトライを奪う、というのが「超速ラグビー」の理想型のはずだが、この試合において、その理想型に近いプレーを見せていたのは、皮肉にもフランスの方だった。ジャパンの強みの一つであるセットプレーは比較的安定していたものの、スクラムにせよラインアウトにせよ、互角以上に渡り合って、ボールを奪い取るシーンが数多く見られないと、それ以外の局面の劣勢を挽回するまでには至らない。
全ての局面におけるスピードアップと、より強力で正確なセットプレーを構築しない限り、上位チームとの対戦はこの試合の結果をなぞることになるだろう。2027年に向けてエディーHCがどのようにジャパンを強化していくのかを興味深く見守って行きたいが、そろそろ強豪国相手に互角以上の戦いを見せる姿を見てみたいというのもファンの率直な思いだろう。オータムシリーズ残り2試合に期待したい。
[文:江良与一]
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