開幕迫るセンバツで必見の強打者 プロ注目の“打率6割の怪童”モイセエフ・ニキータは何が凄いのか?【高校野球】

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随所でポテンシャルの高さを感じさせるモイセエフ。その注目度の高さは今大会屈指だ。写真:西尾典文

 3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会。今秋のドラフト候補となる選手たちにとって貴重なアピールの場として最初の全国大会となる。そのなかで野手において最も注目を集めている選手と言えるのが、モイセエフ・ニキータ(豊川)だろう。

 ロシア出身の両親を持つも、出身は愛知県で、生まれも育ちも日本であるニキータのポテンシャルは、かねてから垂涎の的だった。高校入学直後の1年春からベンチ入りすると、同年秋の新チームからは「3番・センター」で定位置を獲得。昨夏の愛知大会でも4試合で打率.467(15打数7安打)と目に見える結果を残した。

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 そして、モイセエフの名前が全国区となったのは、昨年の秋季大会での活躍がキッカケだ。東三河地区大会、愛知県大会、東海大会、明治神宮大会の17試合で打率.571、6本塁打、32打点という圧倒的な成績を残したのである。地区大会では力の差があるチームとの対戦も多くなるが、レベルの高い東海大会と明治神宮大会でも6割以上の打率を残しているのは見事という他ない。

 とくに名門・星陵との明治神宮大会準決勝で放ったホームランは、まさに目の覚めるような一だった。打った瞬間こそライトフライかと思われるような高々と打ち上がった当たりが、そのままスタンドまで届き、詰めかけた観衆からもどよめきが起こった。この時の球場内は決して強い風が吹いていたわけではない。ゆえに彼のヘッドスピードの速さとインパクトの強さがある証左と言えた。

 そんな観る者を魅了する打撃を生み出しているのが、全身を使った豪快なスイングだ。見た目は高校生らしくスラッとした体格に見えるものの、180センチ、82キロというプロフィールからも分かるように、上半身、下半身ともしっかりと筋肉はついている。

 高校生の強打者の多くは、どうしても上半身の力や腕力に頼る傾向にある多いが、モイセエフの場合は、力を入れるタイミングなどの“メリハリ”が良いように見える。バットを高く上げた大きい構えも迫力は十分で、フルスイングしてもバランスが崩れないというのも大きな長所である。

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