【松田宣浩インタビュー】ジャイアンツ版「熱男の流儀」 優勝のためには「1球に対する価値感を上げなければいけない」

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ーー巨人のメンバーで親交がある選手は?

 代表やオールスターなどでたくさんのメンバーとプレーしています。有名な選手、監督コーチの方もそうですし、誰もが知っている名前の方ばかり。同年代も多いので、やりがいがあります。やっぱり何と言ってもジャイアンツは名門。そういうチームに選んでいただいたのは嬉しく思います。注目されるのは僕も好きですし、よりモチベーションを高く持てますよね。今年はホークスで悔しいシーズンを過ごしてチームを去ることになったので、なおさらモチベーションは高いです。

ーー松田選手はここまで1831安打、301本塁打の記録を積み上げています。来季に向けて、数字の目標があれば教えてください。

 数字の目標はありません。来年は「まだまだやれる」ところを見せたいというのが、今の気持ちです。2000本安打に近いところまで来ているなとは感じていますが、それを目指して現役を続行したわけではなく、まだまだ元気だし、野球がしたいと思うから現役にこだわって、チャンスをいただいた球団に飛び込もうと思っていました。だから、まずはジャイアンツで試合に出て1本ヒットを打ち、今年打てなかったホームランを打つ。本拠地の東京ドームでホームランを打ちたいなと、そう思っています。

ーーソフトバンクで7度の日本一を経験しています。常勝軍団の中で自身が心がけていたこと、優勝するための必要な意識とは、どのようなものだと考えていますか。

 まずは試合に出続けるのが大事。でも、ベンチに回るようになってからは、交代で出場する選手の大切さも分かりました。誰もがスタメンで出たいなと思うのは当然ですが、やっぱり役割があるので、そういう役割をしっかりこなす。あとはスタメンにせよ、交代出場にせよ、しっかり準備をすること。いつ自分の出番が来てもいいように、常に準備しておくことが大事です。

ーーベンチ生活を経験した今年1年で心構えが変わった部分も?

 いろんな発見はありましたが、それに慣れるのは良くないなとも思いました。実際に「チャンスが来た時に1発で立ち位置を変えたろう」という思いを持っていました。そういう気持ちが大事だし、それがきついと思ったら辞めていると思います。





ーー松田選手は日本シリーズで巨人と戦っています。当時、巨人のコーチ陣からは「松田選手の声に負けた」という声も出ていました。その当時の巨人の印象や「足りないピース」など感じた点があれば、教えてください。

 結果的には4勝0敗でしたけど、当時もジャイアンツは十分な戦力があったと思います。日本シリーズまで勝ち上がるチームの力は、あまり変わらないと思うんです。あとはいかにみんなが勝利のためにプレーできるか。ヒット1本でも、それがホームラン打ったかのように盛り上げるとか、点が入ったら勝ったかのように盛り上げるとか、そういうムード作りは意識してやってましたね。日本シリーズという舞台は、一つのヒット、一つのプレーでも価値が違う。普段のシーズンだったら一つのアウトを取ったら普通にナイスプレーで終わるんですけど、シリーズでは常にファインプレーしたかのように、27のアウトを取るんです。そういう積み重ねで何回も日本一になれた。だから、クライマックスファイナルステージ、日本シリーズとステージが上がるにつれて、1球に対する価値感を上げないといけないと思っています。

ーー当時のチームメイトにも、そういったことを伝えましたか?

 そうですね。言っていました。1試合の重みが全く変わってくるので、もっとバカになって野球やってみようと。そのバカになってやろうというのが、大袈裟にジェスチャーするとか、そういうことだったかなと思います。

ーー巨人でも目標は優勝ですね。

 今年はリーグ優勝できなかったので、誰かがやらないといけない。みんながそう思って束になってやっていきたい。僕自身はリーグ優勝6度、日本一7度という経験を生かしていけたらいいと思います。優勝できずに現役を終える選手もたくさんいるなかで、本当に恵まれてこんなに数多く優勝させてもらっている。この経験は消えないので、表現したい。

 僕もいつまでプレーできるかわかりませんが、チャンスをくれたジャイアンツのために個人成績でも頑張るし、リーグ戦で1試合1試合に負けないようにやっていけたらいいかなと思います。サードとファーストがメインでしたけど、過去には外野も守った経験もあるので、挑戦という意味ではどこでも守りたいなという気持ちでいます。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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