“孤高の天才”イチローに「謝罪」 米指導者が明かした年間262安打誕生の舞台裏「私が話したことは全部忘れてくれって…」

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「春季キャンプのことだった。私は球団の人間からイチローに『アプローチの仕方を少し変えるように言ってもらえないか』と言われていた。別に彼が何かを劇的に変える必要があったわけではない。でも、もっと球を見て、出塁率を上げてほしいという意図があってね」

 その後、イチローはモリター氏の要求に呼応。「最初の2週間ぐらいは私の提案したやり方を試してくれた」という。しかし、打撃の調子が上がらないと見るや、モリター氏はたまらず切り出したという。

「調子が出なくなった時に言ったんだ。『すまない。私が春季キャンプで話したことは全部忘れてくれ。いつもの君に戻ってくれ』って。そしたら、イチローは3か月で50本以上のヒットを打ち出したんだ。そして、最終的にシーズン記録の262本も叩き出したんだ」

 自身も優れたヒットメーカーだったモリター氏は、「イチローは特別ボールの見極めが優れていたとは思わない」と断言。その上で「ボールへの対応力がずば抜けていた。どんな形でもバットにボールを当てることができて、彼はスペース見るタイプの選手だった」と独特な表現で、イチロー氏の異能を評している。

 当時は「ステロイド時代」と揶揄されたほどに米球界はパワーが重視されていた。そんな時代に卓越した技術力と天性の才覚で勝負したイチロー氏の活躍は、色褪せはしない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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