【ラグビー】昨季の経験を糧にできていなかったが故の完敗 JAPANⅩⅤ「超速AS ONE」への道は険しい
攻撃面でも、特に後半はノック・フォワードやパスミスなどのハンドリングミスが頻発した。チームの新スローガンは「超速AS ONE」と決められたようだが、スローガン以前に、まだチームとしての一体感が醸成されていない。ループプレーやバックドアへのクイックパス、オフロードパスなどの細かいプレーは、パスを放る側がいかに正確にパスを送るかということとともに、パスを受け取る方もパスを放るプレーヤーのクセやパスの質などの情報をうまく消化できている状態で初めてうまくいく。
例えば2019年のW杯の際のジャパンはBKの選手を中心にラファエレ・ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ。以下神戸S)のオフロードパスに見事に反応し、チャンスを生み出したり、トライを奪ったりしていた。チームとして動き始めてまだ日が浅いということがわずかな救い。この試合で出た課題を確実に改善していっていただきたい。本来なら、昨季が終了した時点でこうした課題の解決に向かう対策を打ち、今シーズンには昨季よりも改善された状態で臨みたかったところだ。
一筋の光明はこの試合で2トライを奪って気を吐いたWTB植田和磨(神戸S)の存在だ。植田は7人制で培った優れた状況判断とアジリティーで、MABの守備陣を見事に置き去りにする快走を見せた。2015、2019年のW杯で「ツインフェラーリ」として世界を瞠目させた、松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)、福岡堅樹氏に比肩する存在になる可能性を秘めた有望株だ。2027年に向け、前途多難ではあるが、ジャパンの進化と植田の飛躍に期待して行きたい。
[文:江良与一]
【関連記事】【高校ラグビー総括】わずかな「勝負勘」の差が大きな得点差に 桐蔭が仰星を上回ったポイントは?
【関連記事】早明戦の「魔物」に飲み込まれかかった早稲田が明治に競り勝てた理由【大学ラグビー】
【関連記事】【リーグワン】モウンガを輝かせた「All for one」 BL東京の連覇に見えたチームの総合力






