”怖いほどパーフェクト”だった3連勝 大岩ジャパンがイスラエル戦で見せたサプライズ 「正直やりたくない」スペイン戦で鍵を握るのは?【パリ五輪】
そんなわけで前半はターンオーバーした割には、まずまずの内容で、0-0で終わった日本。後半はフィールドプレーヤーでは唯一、3戦連続のスタメン出場をしていた山本理仁を下げ、荒木遼太郎をボランチへ。荒木は守備に出て行くタイミングをつかめず、遅れて寄せて、背後を突かれることが多かった。
そうしたメンバーの再変化に加え、イスラエルが9番FWドル・テルグマンを投入して前線の質を上げ、両サイドバックを高く上げてきた修正もあり、後半の日本は押し込まれる時間が増えた。イスラエルは勝たなければならない状況なので、0-0のままではダメ。前半のような速攻主体ではなく、ポゼッションによって日本を押し込む戦術に切り替えてきた。
いくつか危険なシュートを許したが、ここは「国防」の名高い小久保玲央ブライアンがシャットアウト。マリ戦はあまり空中戦に飛び出さなかったし、イスラエル戦はキャッチできそうな場面でも弾いたりしたので、自ら活躍の場面を増やした感はある。とはいえ、3戦完封は何よりの結果だ。構えを崩される場面がほとんどなく、シュートに対して機敏に足を運べている。国防小久保は今日も健在だった。
0-0でも構わない状況だったが、終了間際には細谷真大にゴールが生まれ、1-0で勝利。大喜びするわけでもなく、漏れるような笑顔を浮かべた細谷からは、彼が窺い知れぬプレッシャーと戦っていたことを想像させる。コンディション調整に加え、プレッシャーからの解放。怖いほどパーフェクトだった日本のグループステージが終わった。
準々決勝は、なぜこのチームが2位で抜けてくるのか、スペインとの対戦だ。前回の東京五輪で日本が敗れた相手でもあり、今大会前には「正直やりたくない」と国防殿がフラグを立ててしまった相手でもある。
鍵を握るのは日本のポゼッションだろう。五輪代表やA代表の軸であるミドルプレスが機能することはある程度予想していたが、ポゼッションでこれほど試合をコントロールできるとは思わなかった。それがグループステージ3戦に共通するサプライズだ。
スペインのプレッシングを避け、日本がボール支配率で5割とはいかなくても、4割を越えるくらいになれば、スペインにとっては気分の優れない試合になる。そこまで持ち込めば、充分勝機はあるのではないか。消化試合から一転、次は大一番だ。
[文:清水英斗]
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