【ラグビー】底力にはね返されたウエールズ戦の3つの敗因 「超速AS ONE」実現に求められる要素とは

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 いずれのトライもチームとしての意図した仕掛けで防御網に穴を開けて奪ったものではない。相手にかけるプレッシャーが増したことで生まれたトライだとも言えるので、チームとしての熟練度は上がっていることは確かなのだが、チームとしての「崩し」や「仕掛け」のパターンをいくつか持っておき、時宜に応じて使い分けられるような状態にまで仕上げておかないと、今後に続く強豪相手の試合では苦しいだろう。この試合は、極端に言えばウエールズの「スタミナ切れを待つ」という作戦しかなかったように見えた。どん底のウエールズよりも格上の相手に同じ戦法で臨んでも、先に息切れするのはジャパンの方だ。

 ②について、良い調子で攻め込んでいる際にノック・フォワードを犯す、あるいは接点でスチールを喰らってリズムに乗り切れないという場面が多々あった。特に密集からの展開で最初にコンタクトすることの多かったインサイドCTB中野のところでのミスが目立った。ノック・フォワードは個人的なミスなので中野の精進を期待するしかないが、被スチールに関しては、ファーストコンタクト直後の働きかけをどうするのか、そして中野というプレーヤーがどの程度まで前進可能なのかという共通認識がまだチーム全体に浸透していないように感じられた。せっかく中野が持ち味の強いフィジカルでゲインしても、それがかえって孤立につながり、スチールされてしまうのでは意味がない。今後も中野をファーストコンタクトに使う場面は少なからず発生するだろうから、その際の対応については認識を共有しておく必要があるだろう。

 ③は今回のテストマッチ最大の謎だ。後半30分過ぎに脚が攣ってしまって以降、明らかにライリーの運動量は落ちたし、インプレー中にも懸命にストレッチを繰り返す姿が見受けられた。気持ちはあっても身体がついていかない状態だったのではないだろうか。そして控えにはまだ植田和磨が残っていた。本来がWTBである植田には、特に守備面でアウトサイドCTBを任せるのは不安だという判断だったのだろうとは思うが、少なくとも動きたくても動けない状態のライリーよりは戦力になったのではないだろうか。この件に関しては、首脳陣が明らかにしていただきたい謎ではある。

 この2連戦は収穫もあったが、それ以上に現状の課題が浮き彫りになった。ジャパンとしてのテストマッチは8月末まで一時休止。その後10月末から11月末にかけて、豪州やアイルランドといった強豪と戦うオータムシリーズが行われる。ウエールズとも再戦が予定されている。オータムシリーズまでの期間で、今シリーズであらわになった課題をどこまで解消できるか。ジャパンの真価が問われる夏となる。





[文:江良与一]

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