WBC敗戦の「本質」はどこに――ピッチクロック、飛ぶボール…三嶋一輝が語る日本野球が次に進む条件「変わるなら早い方がいい」

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井端監督もストレートの質に言及していた(C)Getty Images

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での8強敗退を受け、日本野球の在り方やNPB改革を巡る議論が活発になっている。だが、元DeNAの三嶋一輝氏は、単純な敗因分析や課題探しには距離を置く。「一発勝負」という条件の中で、何が勝敗を分け、次に向けて何を変えていくべきなのか。現場で投手として戦ってきた経験をもとに、三嶋氏は静かに言葉を選びながら、日本野球が進むべき改善の方向性を語った。

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 今回のWBCを振り返り、三嶋氏がまず口にしたのは、日本の立ち位置の変化だった。

「日本が“強い国”だという認識が、大会を重ねる毎に強くなっている。日本を倒すために、かなり研究されているなと感じました」

 ベネズエラが勝利後に見せた喜びや、試合前から徹底された準備。そこには、日本を“倒すべき相手”として捉える明確な意識があった。

 かつては“挑戦する側”だった日本は、今や各国が対策を練り、分析を重ねて臨んでくる存在になった。その立ち位置の変化こそが、現在の日本野球を取り巻く現実だ。

 そうした中で、三嶋氏が改善策として強調したのが、ピッチクロックへの対応である。

「あれは正直、ピッチャーはきついと思います。めちゃくちゃ短く感じます」

 日本の投手が長年培ってきたのは、テンポや間合いを使いながら打者と駆け引きする投球術だ。呼吸を整え、間を使い、クイックや配球でリズムを崩す。そうした細かな工夫の積み重ねが、日本投手陣の強みでもあった。

 しかし、ピッチクロックはその“間”を奪う。

「考えて投げるピッチャーほど、影響は大きいと思います」

 投球の準備や思考に時間をかけるタイプの投手ほど、その制約は重くのしかかる。一方で、国際大会ではすでに導入が前提となっているルールでもある。

「やらなきゃいけないと決まっているなら、できるだけ早めにやった方がいい」

 日本の独立リーグや韓国リーグの動向にも触れながら、三嶋氏は、NPBでも段階的に導入し、投手が実戦の中で慣れていく時間を確保する必要性を指摘した。

 さらに三嶋氏は、ピッチクロックの導入が、日本の投手に求められる資質そのものを変える可能性があると見る。

「決勝を見ていても、各国のピッチャーのボールの質、スピードが本当に高かった」

 160キロ近い速球をゾーンに投げ込む海外投手の姿は、強い印象として残ったという。

「ピッチクロックがある中では、日本でもシンプルに強い真っすぐを投げられるピッチャーが求められていくのかもしれない」

 細かい配球や間合いだけでなく、ボールそのものの力で打者を押し込めるかどうか。投球スタイルの変化を見据えた、現場感覚に根ざした指摘だった。

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