「1球で人の人生を狂わせてしまう」大竹耕太郎が忘れられない岡田前監督とのエピソード

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 和田氏とはソフトバンク時代のチームメイトでもあり、ここ数年は和田氏主催の自主トレにも参加を続けている。引退はどのように伝えられたのか。

「自主トレメンバーのグループLINEがあるんですよ。そこに一斉送信で。辞める旨と自主トレは行くから、という内容の文面でした」

 1月の自主トレにはトレーニングというより、教えに来るということらしい。シーズン終わって、日本シリーズも終わってからの決断。当然誰にも言えない状況の中、すでに大竹を含めて多くの門下生が「来年もお願いします」と参加を志願していた。

「辞めるからできないよ、とは言えなかったみたいな。そういうところを責任持ってされるのがすごいですよね」

 40歳を超えても現役を続けた和田氏について、大竹は尊敬の眼差しを向ける。

「やっぱり練習量はすごいですよ。質も高いし、なんとなくやる練習がない。3回自主トレを一緒にして、それは感じます。あとは『トレーニングをしていって正しい動きができたら、ピッチングフォームが勝手に変わる』という考え方。僕も正直『投げ方をこうした方がいい』というのは、ほぼ言われていないです」

 トレーニングへの姿勢も、理論も学ぶべきことが多い。実際の投球を参加者みんなで見て、和田氏のフィードバックを受ける機会もあるそうだ。


 岡田前監督、和田氏、そして青木宣親氏と、図らずとも母校の大先輩が同じタイミングでグラウンドから離れることになった。そのことへの寂しさはないのだろうか。

「それよりも今現役の早稲田卒で引き継いでというか、頑張っていこうというか。その方が強いかもしれませんね」

 大竹の3学年上から3学年下まで、一緒に野球をやってきた早稲田大OBは全員プロの世界で生き残っている。本人含めて総勢9人の一大勢力だ。

 彼らと1年でも長く現役で――。それが大先輩たちへのはなむけとなる。

[取材・構成:尾張はじめ]

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