順風満帆ではなかった長谷部誠と重なる姿 名門トッテナムで不遇をかこって、ドイツで必死の毎日を過ごす21歳・高井幸大の「今」に迫る【現地発】

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チーム状況も決して楽ではないボルシアMG。そんな過酷な場所だからこそ、高井はチャンスを求めた(C)Getty Images

高井の姿勢に見える日本の先人たちとの“共通点”

 高井には素養がある。守備者としてチームに安定感をもたらすだけでなく、ボールを前に運び、いい形でオフェンス陣にパスを提供できる能力も持っている。ただ、新加入選手としての遠慮もあるだろうし、欧州でのプレー経験をスタートさせたばかりという段階なのもわかる。その“課題”については、当人も反省材料として口にしていた。

「自分たちからボールを運んでいくプレーがもっとあってもよかった。自信を持ってプレーできている時間帯もありますが、ミスは多かった。改善しなければいけないところはたくさんあります」

 試合を動かす存在になろうとしているという意識は伝わってくる。長年、ドイツで日本人選手を見てきた立場からすると、高井の姿勢には、過去の日本人選手たちとの“ある種の共通点”が見える。

 遠藤航(現リバプール)、そして長谷部誠も、欧州でのキャリアの序盤は決して順風満帆だったわけではない。環境に適応しながら、自分のプレーを確立していく時間が必要だった。重要なのは、その過程で自分を見失わないこと。

 今まさに、その立場にいる高井は、先人たちに想いを馳せる。

「日本人として、一人で海外生活をして、プレーすることの難しさは感じています。でも、それだけにそれをやってきた人、やっている人へのリスペクトがあります」

 欧州でプレーする日本人選手を見ていると、ある段階で大きく伸びる瞬間がある。慣れない環境に適応し始め、自分の色をピッチ上で出せるようになった時だ。遠藤がシュツットガルトでキャプテンになり、長谷部がフランクフルトで長く信頼を得たのも、その段階を乗り越えたからだった。

 高井はまだチームに加入して間もない。立たされている場所は、まだまだスタート付近なのかもしれない。だが、今やるべき自分の役割を理解し、前に進もうとしている。

「(ボルシアMGは)信頼して獲ってくれたと思うので、まずはスタメンで出られるように、自分のプレーを見せていきたいです。自分も中心的なプレーヤーになりたいと思っています」

 苦しい時期をどう乗り越えるかが、その後のキャリアを大きく左右する。高井幸大にとって、今が、まさにその時間なのかもしれない。彼の言葉や姿勢を見ていると、この挑戦が単なる遠回りで終わるとは思えない。むしろ、ここでの経験が、日本代表の未来を支えるセンターバックを育てていく可能性もある。

 大きく跳ね上がるきっかけをつかむために、欧州での挑戦を続ける若きDFは、毎日を必死に戦っている。

[取材・文: 中野吉之伴 Text by Kichinosuke Nakano]

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