執念の守備と「ここぞ」の重戦車出撃 明治が宿敵・早稲田を破り5季ぶりV 「前へ」の魂でつかんだ19度目の対抗戦制覇
むしろインターバルの間に気持ちを切り替えることに成功した明治は、後半開始早々、早稲田SO服部亮太のタッチを狙ったキックを、運動量豊富な左PR田代大介がチャージし、そのボールをCTB東海隼が拾い上げてトライし、逆転に成功した。
服部は超ロングキッカーとして名を馳せているが、パスされたボールを受けてからキックまでの時間が若干長いことがある。時間にすればほんの一瞬ではあるのだが、そのミスとまでは言えないようなちょっとした綻びをついてトライに結びつけてしまうところに、明治の執念とフィットネスの高さを感じた。
そして、その後も明治は冷静にディフェンスし続けた。スクラムこそ、駆け引きで負けたり、プッシュの際のアングル不正で反則を取られたりと劣勢だったが、ラインアウトはマイボールを100%キープ。敵ボールラインアウトも無理に競らずに、早稲田の仕掛けをしっかりと読んでボールが相手に渡った状況に冷静に対処し、曲者のHO清水健伸の働きを封じた。また、BK陣、FW第3列のディフェンスも素晴らしく、フェーズを重ねても有効なゲインを許さず早稲田をどんどん手詰まりの状況に追い込んで行った。
これも一つの明治らしさで、やや反則が多く、PGで点差を詰められはしたが、後半31分には相手トライライン前のラックから「これぞ重戦車」という突進をこれでもかと繰り返し、最上がこの日2本目のトライ。早稲田を突き放した。終了間際、早稲田も死に物狂いの攻撃で明治トライラインに迫ったが、最後は明治に磐石のスクラムを組まれ万事休す。国立競技場に詰めかけた明治ファンの歓喜の声がこだました。
敗れた早稲田は3位となり、2位には明治、帝京を破った筑波が入った。対抗戦からは4位帝京、5位慶応までが全国大学ラグビー選手権に出場することが決まった。シーズンの深まりとともに、ディフェンスシステムを構築し直し、帝京、早稲田を連続で破った明治のチーム状態は確実に向上しており、優勝争いは明治が中心となるだろう。同じくシーズンの深まりとともにチーム力を挙げてくる帝京の存在も不気味だし、関西の二強である天理大、京産大の仕上がりも気になる。リーグ戦優勝の東海大学も虎視眈々と覇権を狙っているし、早稲田、筑波も雪辱を胸に修練に励んでいることだろう。今季の大学ラグビーは最後の最後まで目の離せない試合が数多くなりそうだ。
[文:江良与一]
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