2戦で12ゴール「決定力過剰」の森保ジャパンに死角はあるのか?アジア予選で”一番やりづらい”相手とは

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 その後は大迫勇也という大舞台で決定的なゴールを奪うFWが台頭し、今は上田綺世がいる。この少年時代からシュート練習に明け暮れ、「1本のスーパーゴールは要らない。普通のゴールを9本決めれば、それでいい」と大学生時代に堂々と言い切った生粋のストライカーは、バーレーン戦で強烈なPKをゴール隅に叩き込み、さらに2点目も強烈な反転シュートでゴールポストを強襲した。彼のシュート力は規格外だ。過去のJリーグで言えば、助っ人外国人クラス。上田だけでなく、守田も冷静なフィニッシュを見せたし、堂安律や南野もゴールやアシスト共にこう着をぶち破るクオリティを持っている。

 9年前に叫ばれた「決定力不足」。

 問題というものは、それを見つけ、意識した時点で半分は解決している。当時のアジアカップ敗退をきっかけに、元柏や甲府のFWだった長谷川太郎は、W杯得点王になる日本人ストライカーを育てようと、『TRE2030 STRIKER PROJECT』を立ち上げた。長谷川だけでなく、「決定力不足」に刺激を受け、何かを変えようとした選手や指導者は少なくなかったのではないか。

 スピードやデュエルも同じだ。10年前、20年前はどちらも日本の弱点だった。世界と戦う上では明らかに見劣りしたが、その克服を目指して奮闘し、今は逆に武器になった。バーレーン戦の1点目、2点目はカウンタープレスによるボール奪回から生まれたもの。その効果は多岐にわたる。

 話はそれるが、GKもそう。日本人GKの不足が叫ばれた時期は断続的にあったが、近年の日本は鈴木彩艶をはじめ、190cm越えのGKが多く育ち、タレントの宝庫だ。解決は間近だろう。

 問題は見つけた時点で半分解決している。課題を明確にし、取り組みを続けてきた結果、今の日本代表がある。決定力の驚くべき改善も、その一つだ。

 ただ、こうして歩みを振り返ると、最近は内容が良すぎて問題点が挙がらないのが、逆に不安でもある。年初のアジアカップではイランとイラクに、ハイプレスとロングボールで苦しめられた敗戦が記憶に新しいが、その課題を克服する機会は今のところない。

 バーレーンと中国は戦術的に優れていたが、戦略的には間違っていたと個人的には思う。今の日本を相手に、自陣に構えて守るのは下策だ。日本の変幻自在のポゼッション攻撃とカウンタープレスに晒され、勝機がない。一方的になってしまう。

 ハイプレスでもロングボールでも、手段は何でもいいが、戦略として敵陣に押し込もうと強い圧力をかけるチームこそ、日本にとっては一番やりづらい相手だ。これほど日本の攻撃が変幻自在で、相手を見て変化できるのは、時間があるからでもある。3バックにボールを持たせてくれる、その時間を日本から奪って押し込もうとするチームが現れれば、別の問題が起きるのではないか。プレス回避の課題、ロングボール対処の課題。それは次の成長のチャンスになる。

 来月に対戦するサウジアラビアとオーストラリアは、そうした点で日本に問題を突きつけるだろうか。勝ち点と成長、両方がほしい。





[文:清水英斗]

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