「2年後に中谷戦を見たい」戦慄KOの井上尚弥、“第二の師匠”が語るキム戦とモンスターの近未来
まったく問題なく挑戦者を退けた井上。次は海外での対戦を予定している(C)産経新聞社
文字通り、“順当”な勝利だった。
1月24日、ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が、WBO世界同級11位のキム・イェジュン(韓国)との防衛戦に臨み、4回2分25秒KO勝ち。急きょ決定した挑戦者との試合を識者はどうみたのか。ロンドン五輪ボクシング・フライ級日本代表であり、井上が「第二の師匠」として慕う、須佐勝明氏に話を聞いた。
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1か月も試合が伸び、対戦相手もキム・イェジュン選手に変わる中でどうなるかと見ていましたが、まったく不安要素はありませんでした。
1ラウンド目はキム選手が前に出てきて、井上選手が距離を取る展開。正直、1ラウンド目はお互い探りあいなので、いつも通りの流れです。
変わったのは、2ラウンド目からでした。井上選手がいつも以上に早いラウンドで、身体を落とし、踏ん張って強いパンチを打っていたんです。相手の怖さやパンチの強さ、それに対する見極めが終わったので強振できたのだと思います。あの姿を見たときに、完全にペースをつかめたと感じました。
井上選手はサウスポーでガードを下げた相手が得意です。2018年WBSS1回戦のパヤノ戦がいい例。あの時は1ラウンドであっという間にKOしましたからね。井上選手はガードを落としてラフに戦ってくるサウスポー相手に右ストレートを合わせる技術が誰よりも長けている。だから、早いラウンドで決着がつくと感じていました。
途中でキム選手の左をもらうシーンもありましたが、自分がリスクを負ったからこそ、相手のパンチも当たる距離になっていただけなので、そこまで影響はなかったと思います。3、4発もらった場面も、ペースを握っていた井上選手にとっては気にならなかったでしょう。
3ラウンド目にはキム選手がパンチを振ったところに、井上選手がたとえ体勢が崩れていてもしっかり返していた。ボディも効き始めていましたし、あのあたりからキム選手の心は折れていたのではないかと思います。結局、4ラウンドで井上選手のKO勝ちとなりましたが、試合を通してキム選手に主導権を渡すことなく、いつも通りにモンスターが挑戦者を“食った”という感じでした。