鬼木色は見えた? 好スタートを切った新生・鹿島の「変わらない部分」と「変わった部分」

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開幕戦で敗れた鹿島は、理想と現実を上手くすり合わせてきた(C)Getty Images

 鬼木のようで、鬼木でない。鹿島のようで、鹿島でない。それは何かと尋ねたら、2025年のカシマ、カシマ。

 監督交代が続いたこともあり、過去2シーズンの鹿島アントラーズは、シーズン序盤の成績が振るわなかった。それは鬼木達が就任した今季も踏襲されそうだと、0-1で敗れた開幕の湘南戦の後にも感じたものだ。

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 ところが、鹿島は開幕戦を落とした後、2節の東京V戦で4-0の大勝を飾り、その後は破竹の4連勝と大反転。広島が1試合少ないので暫定だが、5節終了時点でJ1の首位に立っている。

 決断の早さに驚いたが、鬼木・鹿島のターニングポイントは2節だった。開幕の湘南戦の鹿島は、鬼木色、というか前所属の川崎色が強かった。ボランチの知念慶や柴崎岳の1枚をアンカーに残し、1枚をライン間へ潜らせ、サイドハーフ、サイドバックとの三角形でサイドを攻める。右サイドバックにはビルドアップに長けた小池龍太を起用し、足元で崩してのポケット攻略を窺う様子だった。

 しかし、これが全く機能せず。川崎っぽく立っていたが、川崎のように動いていない。ライン間に立つだけで、そこからどう動けば背後を取れるのか、全く浸透しておらず、各々がスペースに蓋をしているだけ。当然、攻撃は詰まる。湘南が5バックで守るため、初陣としては攻略の難易度が高かったかもしれない。

 結局、選手が違いすぎた。知念や柴崎は脇坂泰斗や大島僚太ではないし、山根視来や登里享平のような組み立て型サイドバックも鹿島の系譜ではなく、新加入の小池を置くしかない。全体的に無理があった。

 これを2節でガラッと変更。

 ビルドアップの基底はセンターバック+ダブルボランチに変え、ボランチを2枚共に低い位置に残した。ボール運びに困ったら、すぐに2枚のボランチが近くでサポートするので、植田直通や関川郁万にとっては安心感につながったはず。特にスタメン起用された樋口雄太の精力的なサポートは出色だった。

 また、ボランチが低く留まることで、両サイドバックは高い位置を取りやすい。昨季9得点を挙げた右サイドバック、濃野公人はこの2節でスタメンに返り咲き、安西幸輝も含めて両サイドバックが果敢に攻撃参加する。鹿島っぽい配置になった。

 川崎を匂わせる開幕戦の理想形に比べると、サイドを内側にえぐってポケットを取る連係は仕掛けにくいが、そもそも鈴木優磨とレオ・セアラの2トップなら、ポケットまで陥れなくても、大外からのハイクロスで充分にゴールを奪える。また、2節以降は左サイドハーフでスタメン起用された松村優太も徐々にフィットし、持ち前のスピードを生かした個の力で、ポケットまで陥れる場面が増えてきた。つまり、ペナ幅の崩しに、無理に人をかけなくてもいい。

 その他にもハイプレスとカウンターからの得点、J屈指の2トップへの放り込みとボールキープからの起点作り。自陣ゴール前は身体を張って守り、勝ち点を重ねる。

 な~んだ、それって今までの鹿島じゃん!

 その印象は同意だ。特に攻撃は個々の質に依存しやすいので、選手の半数以上が変わらない以上、ドラスティックに変化させるのは非合理だ。今季も2節以降は、従来の鹿島に近くなった。

 ただ、全部が一緒かと言えば、そうでもない。鬼木色が見えるのは、4-4-2の守備ブロックだ。昨季までの鹿島は粘り強いマンツーマンとその強度が特徴的だったが、鬼木監督の鹿島は、早くから人を捕まえる守備をしていない。相手がライン間へ潜って来ても、中盤の立ち方で縦パスを入れづらい形を作り、相手をマークせず中間ポジションに浮かせたままで守備をする。1人で2人を見るサイドバックと、背中で消すサイドハーフの2対2で守るイメージだ。

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