なぜ堂安律は“快適な場所”を離れたのか 日本代表MFが語っていた移籍へのホンネ「刺激がないと面白くはない」【現地発】

タグ: , , , 2025/10/10

フランクフルトでのチャレンジを決意した堂安(C)Getty Images

チーム内での発言権もあったフライブルクをなぜ離れたのか

 今夏にフライブルクからフランクフルトへと移籍した日本代表MFの堂安律。彼が決断をした際に、「あぁ本当にファンから愛されていたんだな」と思われる出来事があった。

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 クラブへの忠誠心を大切にするドイツのファンは主力選手の移籍を受け入れられずに、「裏切り者」や「金の亡者」といった攻撃的な書き込みをSNS上に展開することがある。しかし、フライブルクが堂安の退団を公表した際には、ほぼすべての反応が彼への感謝の言葉で溢れかえった。

 健全経営で、地に足のついた補強策を地でいくフライブルクらしいと言えばそうかもしれない。だが、ファンの好意的に反応したのは、堂安が在籍3年間で、どれほどの献身的なプレーをし、チームを助けてきたかの表れでもあった。おそらく彼の活躍がなければ、24-25シーズンのブンデスリーガ5位フィニッシュも果たせなかった。

 ひたむきな姿をずっと追っていたからこそ、ファンはより高みを目指すステージにきた日本人との別れに、もちろん寂しさはありながらも、さらなる成長と健闘を祈る気持ちの方が強かったのだろう。

 フライブルクでの3年目となった昨季は、チームメイト全員から頼りにされ、内部での発言権も得ていた。ユリアン・シュースター監督とも、気になることがあれば、すぐに相談をし、意見を口にできる関係性が築けていた。グラウンド上でも、仲間たちは困った時、あるいは変化が必要な時には迷わず堂安にボールを預ける。そんなプレーがどんどん増えてきていた。

「裏に抜けたり、トップ下に入ったり、サイドにはったりと、オプション的に一つじゃなくなってきてるんで、幅は広がってると思います。僕の動きに仲間が合わせてくれている。僕中心にチームがプレーするように、監督がやってくれているのを感じています」

 昨季終盤、堂安は手応えとともにそう話してくれた。

 ゆえにフライブルクに残れば、中心選手としての地位はより明確に確立されていた。それでも、堂安はチャレンジを選んだ。自身が成長するために何が必要なのかを模索した末の決断だ。「快適さ」は居心地の良さをもたらすが、さらなる成長を願う時に足かせにもなりかねない。

 実は24年12年のヴォルフスブルク戦後に、気になる発言をしていた。

「刺激がないと面白くはない。自分との闘い、自分を極めながらやりますし、自分のやりたいことが表現できるようになってきたということは、自分がそこまで成長できた証でもあると思う。また違う刺激が欲しいというのはありますけど、それは数字を残してから考えることだと思います」

 そう語る堂安は、初のブンデスリーガ2桁得点を挙げ、クラブを5位へ導き、4年間で3度目となるヨーロッパリーグ出場権をもたらした。名実ともに旅立ちの時を自らの手で作り上げたと言えるかもしれない。それでも、フライブルクラストマッチとなった昨季最終節のフランクフルト戦後には、感傷的なことも話していた。

「本当にチームからの愛情も感じるし、オン・ザ・ピッチだけじゃなく、オフ・ザ・ピッチでもかなり仲良くしてる。もちろん彼らとの絆はね、やっぱり時間が経つにつれて感じられるのかなと思う」

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