「サッカーってこんなに深いんや」堂安律が迎える“進化の時” 監督交代でスタメン確約もなくなった日々で得る充実感【現地発】

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ブラジルに0-2から逆転した力を英メディアも警戒している(C)Getty Images

システムも、起用法も、試合運びも、ガラッと変わったチーム

 日本代表MF堂安律は、フランクフルトで新しい戦いに挑んでいる。

 昨夏の加入当初は、本職となる右サイドの攻撃的なポジションで起用され、ゴールやアシストを記録。堂安1人の働きで勝点を獲得した試合もあった。だが、チームは不振から抜け出せないまま、低空飛行が続いた。

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 そして、今年1月にディノ・トップメラー監督が解任。ほどなくしてチームに新たに招かれたのが、スペイン人指揮官のアルベルト・リエラだった。

 就任時に「チームに新しい構築をもたらす」と発言していたリエラは、言葉通りにシステムも、起用法も、試合運びも、ガラッと変えた。レギュラー争いもシャッフルされ、選手それぞれが必死にアピールを繰り返している。無論、地位を確立していた堂安も例外ではなく、スタメンを外れるだけでなく、中央寄りのインサイドハーフで起用されたりと、様々な変化の中に身を投じている。

 そんなリエラ体制下のフランクフルトにおいて、ひとつの特徴的な現象が起きている。途中出場選手の活躍、いわゆる“ジョーカー”のゴールが増えているのだ。この流れについてスポーツディレクター(SD)を務めるマルクス・クレシェは「ベンチの選手が試合に影響を与えていることが重要」と語り、選手層の厚みを強調している。

 かくいうリエラも、これを偶然ではなく、戦略上の成果として説明している。43歳のスペイン人指揮官は「60分で土台を作り、残り30分でトロフィーを手にする」という表現を用いて、60分間で相手を消耗させ、終盤にフレッシュな選手を送り込むことで試合を刈り取るのが狙いなのだ、と。

 明確な役割分担で試合をものにし、スタメンで出る選手と、途中からピッチに立つ選手が異なる価値を持つ構造で、強度の高いリーグを効果的に戦おうとしている。その狙いはよくわかる。

 ただ、そうした説明があったがために、各選手の立ち位置が明確化され、それがメディアによって新たな議論の火種ともなった。2試合もスタメンから外れた堂安や、27節のマインツ戦でメンバーから外れた元ドイツ代表FWマリオ・ゲッツェへの評価、そしてチーム内での立ち位置について、地元メディアが取り上げないわけがない。

 昨年8月にフランクフルトは、およそ2100万ユーロ(約37億8000万円)を超える移籍金を投じて堂安を獲得した。これはクラブ史においても屈指の大型補強であり、彼に託された役割は明確だった。攻撃の中心として試合を動かす主軸としての役割だ。

「スカッドが厚い以上、誰かがベンチに座ることはある」

 そう語るのはクレシェSD。堂安が“それ”にあたることもある、というロジックは理解ができる。だが同時に、投資額と期待値を考えれば、彼が置かれた状況が最適解でないのも明らかだ。

 堂安がベンチに座った分、他の選手が彼以上の働きをしているのであれば、リエラ監督の狙いも納得がいく。ただ、CFを本職とするアルノー・カリムエンドが、「ウィングにはスピードがある選手が必須」という理論の下、右ワイドで起用された結果、持ち味がどんどん失われていくのではもったいない。

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