佐々木自身も先発へのこだわりがあり、中継ぎへの配置転換には「向いていない」と感じるほど、不安はあった。ただ、チームへ貢献することを第一に、覚悟は決まった。その上で、この経験を来季への弾みとしたい、そんな意欲もあった。「自分のパフォーマンスが出せない中で春先終わってしまった。メジャーのレベルの高さを感じる以前に、自滅するような形で苦しんでいたので、そこはまだ感じられてない部分はありますけど、ポストシーズンで今、そこそこパフォーマンスが戻ってきている中で、これから経験できることが1年目で一番の収穫になるのかなと」。前を向き、自らが成長するための糧とした。
一方で、先発投手として活躍することへの強い思いが薄れることはなかった。ワールドシリーズ前日の会見。中継ぎへの適性を問われた。
「先発でやっていても、中継ぎでやっていても、そこまでパフォーマンス自体は変わらないので。これで球速が2~3 マイル (約3~5キロ)上がるとかだったらそういう可能性もあるかなと思いますけど、結局、先発でも中継ぎでも球速は変わらないですし、今投げているカットやツーシームをしっかり投げていければ、先発でもやっていける。中継ぎの難しさはやっぱり感じます」
昨季は主に、フォーシームとスプリット、スライダーの3球種で勝負した。右肩のリハビリから実戦登板へ向かうまでに、習得を試みたカットボールとツーシーム。162試合の長丁場で、先発ローテーションを守り、長いイニングを投げていくには球数を抑えていく必要がある。そのために、新たに取り組んだ新たな2球種。2年目となる26年シーズン、ドジャースの首脳陣は佐々木を先発復帰させる方針を示している。中継ぎへの配置転換で自信を取り戻して臨む先発ローテーション復帰。苦しみと喜びを味わった1年目の経験を生かし、飛躍の2年目とする。
[文:斎藤庸裕]
【著者プロフィール】
ロサンゼルス在住のスポーツライター。慶應義塾大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。プロ野球担当記者としてロッテ、巨人、楽天の3球団を取材した。退社後、単身で渡米し、17年にサンディエゴ州立大学で「スポーツMBAプログラム」の修士課程を修了してMBA取得。フリーランスの記者として2018年からMLBの取材を行う。著書に『大谷翔平語録』(宝島社)、『 大谷翔平~偉業への軌跡~【永久保存版】 歴史を動かした真の二刀流』(あさ出版)。
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