背中を押した大谷翔平の「早く投げんかい」 ドジャースベンチが佐々木朗希を続投させた背景にあった“成長”「ロウキは逃げようとしなかった」
ロバーツ監督が佐々木の続投を決断した背景には、本人の成長があった(C)Getty Images
2球種でフィリーズ打線を翻弄
決意に満ちた続投だった。
現地時間10月9日、本拠地でフィリーズとの地区シリーズ第4戦で、ドジャースは2-1でサヨナラ勝ち。見事に2シーズン連続でのリーグ優勝決定シリーズへと駒を進め、MLB史上25年ぶりのワールドシリーズ連覇にまた一歩前進した。
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試合後、歓喜に沸いたドジャースナインの面々が、声高らかに強調したのは、佐々木朗希の名だった。一進一退の攻防が続いていた8回にマウンドに上がった23歳の右腕は、まさしくMVP級の働きを見せた。
手に汗握る投手戦が続き、1-1のタイスコアで迎えた8回に出番は巡ってきた。今ポストシーズンで「守護神」の役割を担ってきた佐々木としては、やや早い登板機会だったが、「緊張しすぎることなく、いつも通りに入れた」という。
実際、マウンド上での背番号11はいつになくクレバーだった。先頭打者となった敵主砲カイル・シュワバーを98.9マイル(約159.1キロ)で右飛に仕留めると、続くブライス・ハーパー、アレク・ボームを危なげなく打ち取って勢いに乗った。
ただ、この時点で本人には「続投」の考えはなかったという。試合後に米スポーツ専門局『Sports Net LA』の取材に応じた佐々木は「試合前に2イニングあるかもしれないと言われていた」と明かしながらも、「逆算して8回からとは思っていた。結構、急に同点になったタイミングで言われて、いつもより準備が少ない中での投球なってしまった」と漏らしている。
ではなぜ、ドジャースベンチはスクランブルでの続投を決意したのか。試合後の公式会見でデーブ・ロバーツ監督は、「投げ始めた時に、(今日は)2イニングくらいは投げられると思っていた」と吐露。起用を決めた際の胸中を打ち明けている。
「試合の流れや状況を見て、今日のロウキなら、ある程度のプレッシャーがかかっても大丈夫だろうと感じた。そして、ロウキは一瞬たりとも動じなかった。どのバッターに対しても準備万端で、逃げようとすらしなかった。あの場面では、彼こそが試合を優位に進めるための最良の選択肢だった」
データもさることながら試合の流れを采配に生かしてきたロバーツ監督。そんな名将が感じ取った怪物右腕の精神的な成長は、見間違いではなかった。相手上位打線と対峙する8回を三者凡退で乗り切った佐々木は、その後も4シームと「消える魔球」と評されるスプリットのわずか2球種でフィリーズ打線を翻弄。終わってみれば、3回(36球)を投げ、無安打、無失点、無死四球、2奪三振の“パーフェクトピッチ”を見せた。






