佐々木朗希が守護神起用を呑んだドジャースとの“約束” 適性を見抜いた指揮官の眼識に評価急騰「最初は気乗りしてはいなかった」

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マウンド上で自信に溢れた振る舞いを見せ続ける佐々木(C)Getty Images

復帰の目途は、夏場以降も経っていなかった

 投げるたびに、信頼は高まっている。ドジャースの佐々木朗希だ。

 現地時間10月16日、ドジャースは本拠地で行われたブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第3戦に3-1で勝利。最終回のマウンドに立った佐々木は、打者3人をわずか13球で圧倒。見事に無失点に抑え、2年連続のワールドシリーズ進出に王手をかけたチームに貢献した。

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 背番号11には、いつも以上に気迫が滲み出た。今月13日(現地時間)に行われた第1戦での前回登板は、自慢のストレートが走らず、制球にも苦戦。1失点を喫して9回を投げ切れずに無念の降板を余儀なくされていた佐々木は、“リベンジ”の機会となったマウンドで躍動した。

 イニングの先頭打者となった敵主砲アンドルー・ボーンを96.8マイル(約155.7キロ)のシンカーで遊ゴロに仕留めた佐々木は、続くサル・フリックを危なげなく遊飛に。これで完全にペースを握り、最後はケーレブ・ダービンを“魔球”スプリットで空振り三振に仕留めた。

 これで今ポストシーズンの登板成績は、7イニングを投げ、防御率1.29、WHIP0.57、3セーブ、被打率.091のハイスタッツ。急きょ抜擢された“守護神”の役割も徐々に板についてきている感がある。

 今でこそ功を奏しているが、そもそも佐々木の中継ぎ起用は“ギャンブル”とも言っていい思い切った采配だった。

 5月中旬から右肩インピンジメント症候群で負傷者リスト(IL)入り、長く厳しいリハビリを消化していた佐々木は、右肩の不安も癒えた8月にようやく実戦登板を開始。具体的なメジャーリーグ復帰の目途は、夏場以降も経っていなかった。

 そうした中で佐々木に「メジャーリーグと3Aでは重視する点が全く違う」と実力不足を指摘していたデーブ・ロバーツ監督は、懸念されてきた球速低下問題解消を条件とした上で、中継ぎへの配置転換を決断。マイケル・コペックやカービー・イェイツら主戦級リリーバーが相次いで故障し、タナー・スコットやブレイク・トレイネンへの負担が増加していたブルペン陣へのテコ入れ役に据えた。

 興味深かいのは、高校時代から先発にこだわってきたとされる佐々木の反応だ。米メディア『ESPN』によれば、ロバーツ監督をはじめとする球団首脳陣から中継ぎでの起用を命じられた23歳は「最初は躊躇した」というものの、「自分のできることで貢献したい」と明かしたという。

 いかなる形であろうと、出遅れた分を取り戻す――。配置転換に驚きはあったであろう怪物は、マイナーでの経験を経て、完全にスイッチを切り替えていた。

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