【エディジャパン検証】フィジーの壁は崩せず 惜敗が描いた「成長曲線」と未来への「宿題」

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 この試合のよかった点は、ディフェンスがそれなりに健闘したことだ。取られたトライは全て相手の技術が上回ってのもので、ある意味すっぱりと切り替えて次のプレーに集中できるものばかりだった。もちろん、失点は少ないほど良いので、バックスリー以外のプレーヤーのハイボール処理は依然として課題であり続けているし、パワフルなランナーをスピードに乗せる前に止めるディフェンス網の再構築も急務だ。短時間での大量失点を防ぐために悪い流れを断ち切るマインドセットも課題の一つだろう。

 セットプレーに目を転じると、スクラムはやや優勢で、反則を誘う場面も少なからずあったが、3本スチールを喰らったラインアウトはまだ課題であり続けている。ただしこの試合に関してはスロワー江良のミスというよりはフィジー側にサインを読まれていた故の被スチールだったように見受けられたので、今後のサインの練り直しを期待したい。

 個人として目立ったのは、江良や竹内柊平のルーズボールへの反応の素早さ。これは「超速ASONE」を旗印に鍛えてきた一つの成果だろう。この日3回のコンバージョンと2回のPGをすべて決めた李承信のキックも大きな武器として計算できる。

 そしてこの大会最大の収穫はキャプテンに抜擢されたワーナー・ディアンズの急成長だろう。「地位が人物を作る」というビジネス書によく書かれているフレーズそのままに、キャプテンという地位を任されたことで、明らかに一皮剥けた。ピンチにせよチャンスにせよ「ここぞ」という場所には必ず彼の姿があったし、そのすべての場面でピンチを防ぐ、あるいはチャンスを広げることに寄与していた。「世界最高のLOになる」という彼の言葉が俄然真実味を帯びてきたことが伺える大活躍だったと言って良いと思う。

 結果は残念だったが、数多くの収穫が手にできた大会だった。10月末からのテストマッチはいずれもランキング上位の強豪国との対戦だが、このままの成長曲線を描けるのなら大いに期待できると思う。





[文:江良与一]

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