【エディージャパン検証】なぜ日本代表は“完全アウェー”で勝てたのか 劇的逆転のジョージア戦で見せた進歩の証

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 ジョージアというチームは、不思議なしぶとさを持っている。精緻なキックがあるわけでもないし、密集でボールはポロポロするし、何がなんでも点をとってしまうようなスピードランナーがいるわけでもない。しかし、大きく点差を引き離されるわけでもないし、敵陣深くのラインアウトではここぞとばかりにモールを組んで、バックスの選手もほぼ総動員してプッシュをかけて、かなりの確率でトライを奪う。実に泥臭いラグビーだが、型にハマった時は強いし、最後の最後まで諦めないメンタルの強さは世界屈指だ。

 この試合でも、こうした「特性」は随所にみられた。バックスも参加した「12人モール」こそジャパンに2回跳ね返されたが、これしかないと思い定めた、密集近辺をこれでもかと突いてくる戦法で試合終盤に2トライ2ゴールを奪い、ついに逆転したのだ。

 コンバージョンキックが決まり、ジャパンが22-23と逆転された時点での残り時間は2分。またここでも、「世界の壁」に跳ね返されてしまうのか、という思いがよぎる中、ジャパンのキックオフでリスタート。中盤付近でボールをキープしたジョージアだったが、ここでミスが出た。

 SHのキックがダイレクトでタッチを割り、ジョージア陣内でのジャパンボールラインアウト。後がないジャパンはとにかくボールをキープし続けて相手トライラインに迫るしかない。攻撃を継続させていく中で、ジョージアが密集の中で重大な反則を犯し、ジャパンにPGのチャンス。時間はすでにロスタイム。入れば勝利、外せば負け。スタジアムのジョージアファンは、観戦マナーをどこかに置き忘れたかのように一斉にブーイング。その中で李が冷静にゴールを決めた。25-23。劇的な幕切れで、ジャパンの勝利。2027年W杯でのバンド2入りを引き寄せた。

 前週のゲームで2本のPGを外したことで敗戦の責任の大部分を負うことになった李は、心中期するものがあったのだろう。この日は6本のPGと1本のコンバージョン全てを成功させるスーパーブーツぶりを見せつけた。その他にも、まさに腕一本でランナーの足の裏を叩いてトライセービングしたジャック・コーネルセン、ゴール前の接点でスチールを見せた小林賢太、自陣ゴール前5メートルのラインアウトでボールをスチールしたワーナー・デイアンズなど、随所に好ディフェンスがみられ、それが結局最後に勝利に繋がった。相手のミスの多さを完全に生かしきれずに、接戦に持ち込まれてしまった点は大いに反省すべきだが、本日の唯一にして絶対の目標、勝利が達成できたのはジャパンの進歩の証と言って良い。

 来年のテストマッチでは上位チームを一つでも多く倒し、再来年のW杯では4強進出という目標をぜひ達成したい。道はまだまだ険しいが、次々と明らかになった課題を一つ一つクリアしていくことこそが目標達成につながる。





[文:江良与一]

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