【エディジャパン検証】前半は互角、後半で崩壊――アイルランドの巧戦に呑まれた「悪夢の再演」

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 それでもまだジャパンは折れなかった。前半37分には敵陣深くのラインアウトから強固なモールを築き、最後はBKの選手もモールに参加する必殺技でトライを取り返し、追撃の狼煙を挙げた。そのまま前半終了まで上潮ムードは持続し、ロスタイムにPGを決めて10-17とじわり点差をつめた。

 しかもこの際、アイルランドはWTBジェイコブ、ストックデイルのタックルが石田吉平の顔面に入ったと判定されて、10分間のシンビンを宣告された。ジャパンは後半の入り10分間を数的優位を保ったまま迎えられる。アイルランドはラインアウトが絶不調で6本のマイボールのうち3本を失っていた。ディフェンスラインも整い切っていない印象がある。2019年W杯予選プールの「静岡の歓喜」の際も、前半終えた時点で9-12のビハインドを背負っていた。こんな「有利」な条件が揃い、いやが上にも後半戦への期待は高まっていた。

 しかし、後半、アイルランドは見事に修正してきた。ラインアウトはしっかりとマイボールを確保した上、ジャパンのボールを1本綺麗にスチールさえして見せた。ジャパンの弱点であるハイボールも、絶妙な位置に蹴り込んで多くの場合マイボールとして確保していた。前半からジャパンをうわまっていたスクラムでもプレッシャーをかけ続け、ターンオーバーこそなかったものの、ジャパンFW陣のスタミナをじわじわと奪っていった。ジャパンが組織だったBK攻撃を仕掛けられていなかったこともあるが、懐深いディフェンスで有効なゲインをさせた場面は少なく、トライラインがいつまで経っても近づいてこなかった。

 一方で自分たちの攻撃のチャンスは確実にモノにして点差を広げていった。後半最後の二つのトライは、捨て身になったジャパンが仕掛けてきた無理な攻撃を受け止め、接点で切り返して奪ったもの。まさしく「いつか観た光景」を見せつけられたままノーサイド。後半のジャパンは無得点に抑え込まれた一方でアイルランドは4トライを奪い、最終スコアは10-41。前半戦の健闘は光るものの、まだまだ実力には開きがあることを見せつけられる結果となった。

 2027年のW杯で世界4強入りを目指すことを目標としているジャパンとしては、もう少し爪痕を残しておきたかった試合だったが、世界ランキング1ケタ台の国々との差をあと2年でどれだけ埋められるのか。まずは目の前のウエールズ戦、ジョージア戦で結果を残し、希望を感じさせる空気感を醸成した上で、さらなる精進を重ねていただきたい。





[文:江良与一]

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