【エディージャパン検証】紙一重の惜敗――ジャパンが痛感したウエールズとの“経験値の差”

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 ジャパンの攻撃時の不安定さにつけ込むしたかさも存分に見せつけられた。特にこの試合では敵ゴール前に迫ってからボールを奪われるシーンが数多く見られた。ウエールズの先制トライからしばらくの間は、ジャパンがウエールズをゴール前に釘付け状態にしていたのだが、そこで2度ほどブレイクダウンでのターンオーバーを喰らった。いずれもジャパンの攻撃陣がディフェンスラインを本格的に「崩し」にかかる前の、少ない人数でのボールリサイクルを狙う場面でプレッシャーをかけ、フォローの遅れや、ボールキャリアーのハンドリングミスを誘うというウエールズの戦略に見事にハメられた結果だった。

 このターンオーバーはその際の攻撃が得点に結び付かなかっただけでなく、ジャパンの各選手に「恐怖心」を植え付ける効果をもたらした。前半の終盤にジャパンは2枚のイエローカードを受け、13人で戦う時間帯があったが、数的不利にも関わらず果敢に攻めてはいたものの、2人の選手の不在でターンオーバーへの恐怖心が高まっていたのか、密集近辺を突く肉弾戦が多く、外に展開してトライを取りにいくことができなかった。逆にウエールズは2本目のトライをチームの精神的支柱でもあるWTBジョシュ・アダムズの退場時に奪った。

 そしてウエールズは後半も大半の時間を自陣内で過ごしたが、2度あったトライのチャンスと最後のPGのチャンスは確実にモノにし、得点を積み上げた。

 ジャパンはこの試合、課題だったハイボールの処理もさほど見劣りしなかったし、スクラムもほぼ互角。最後の最後で唯一かつ最大の失敗を犯したものの、ラインアウトも安定していた。試合全体を支配していたのはジャパンだったのに、最終的にはスコアで下回ったという結果は、まさに「相撲に勝って勝負に負けた」という状態だ。

 ウエールズのしぶとさの源泉は、やはり「経験値の差」ということになるだろうか。ここ数年低迷しているとはいえ、毎年シックスネーションズで強豪たちに揉まれているウエールズにはジャパンにはない懐の深さを感じた。ジャパンの運営に携わる方々には、来季は1試合でも多くのテストマッチを組んでいただき、少しでも選手たちの経験値をあげることに努めていただきたい。

 泣いても笑ってもオータムシリーズは世界ランキング11位のジョージア戦を残すのみ。タフな相手ではあるが有終の美を飾って欲しい。





[文:江良与一]

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