事実上の今季最終登板で自己最速タイ158キロ 語り継ぎたい「髙橋宏斗の2024」
高橋は米国戦で4回8奪三振の好投を見せた(C)Getty Images
侍ジャパンは21日に行われた「 ラグザス presents 第3回 WBSCプレミア12 」スーパーラウンド初戦で米国を9-1で破り、大会連覇に一歩近づいた。この日先発マウンドに立ったのは髙橋宏斗。中日の若きエースは代表でも主戦を担い、トッププロスペクトが揃う米国を4回無失点8奪三振の快投でなぎ倒した。
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■4回8奪三振、米国打線を圧倒
普段は敵地で戦う東京ドームに本拠地仕様の登場曲が流れ、背番号19がマウンドに向かう。スタンドからは大きな拍手が降り注ぎ、右腕を後押しする。その姿は、WBCで先輩たちに可愛がられ、竜党が息子や親戚を紹介するように「うちの宏斗」と浮かれていた頃とはまるで違う。プロ野球ファンの期待を一身に背負うエースそのものである。
髙橋宏は初回から飛ばしていた。いきなり三者連続三振のスタートだ。真っ直ぐでカウントを稼いでスプリットで仕留める投球はシーズン中と同じ。2番マット・ショウの打席では自己最速に並ぶ158キロを計測した。2回は1死から5番カーソン・ウィリアムスに二塁打を打たれるも、後続を連続三振に抑えピンチ脱出。3回も走者を出したが、ランエンドヒットを防いで併殺打。4回はこの日唯一の四球を出しつつも、再び連続三振を記録。5回からは隅田知一郎(西武)にマウンドを譲った。
4回終わって70球ではあったが、試合後の会見でも井端弘和監督が語ったように、「いっぱいいっぱいに見えた」ほどの全力投球。試合は髙橋宏のゲームメークもあって、侍ジャパンの快勝で終わった。事実上の今季最終登板は良い形で幕を閉じた。
■開幕二軍スタートを乗り越えて飛躍
振り返れば、今季は開幕二軍スタートだった。信じられないかもしれないが、オープン戦に入ってからの髙橋宏はWBC右腕の見る影もないほど、自信を喪失していた。
そこから一念発起し、練習を積み重ね、二軍戦で投げるたびに自信を取り戻していく。一軍に呼ばれたのは、大型連休が始まった4月末のことだった。
2度目の登板、5月5日のヤクルト戦(神宮)で今季初勝利。その後も好投を続けると、7月は圧巻の32イニング自責ゼロで月間MVP受賞。自身初のマダックス(7月5日、広島戦で99球完封)も達成している。この頃の髙橋宏は投げれば抑える、まさに無双状態を迎えていた。
8月以降は疲れも出てきたのか、直球がシュート回転する悪癖が顔をのぞかせ、一進一退の状態に。一時はシーズン防御率0点台も狙えたが、最終的には1.38でフィニッシュ。それでも球団最高記録を樹立し、初の個人タイトル・最優秀防御率にも輝いた。