NPB復帰登板を飾った藤浪晋太郎の今後の「課題」は? 近鉄元OB、佐野慈紀氏の考察「1番の球が抜ける要因は…」
一方で課題とされている制球力に関しては「引き続きチェックしたい」と話す。「NPB時代、メジャー時代、そして今回の復帰と通して投球を見ても、特別何も変わっていない」とメカニックは変わらないとしながら、課題の制球難の背景にも思いをはせた。
「僕の見立てでは、長い腕をうまくたたんで投げている時は安定している。1番の球が抜ける要因はバランスを崩した時に、長い腕が遠回りに出てくるところです」とずばり。
さらにバランスが崩れる要因については「下半身なのか、頭の位置がずれて、バランスが崩れることもある。それは近くで投球をじっくり見てみないと分からないことでもあります」としながら、自身の経験を踏まえて、こう語る。
「僕の場合は、崩れるときは大体、パターンが一緒。頭から突っ込んでいってしまう。そうなると、身体のラインにそって、まっすぐ降ろさなくてはいけない手が、ちょっとだけズレてしまうんです」とコメント。
「その分だけロスが出る。あくまで推測ですが、藤浪投手も頭から動いてしまうことで、腕が離れてしまい、いい時はうまく腕をたたんで投げられていたものが、ロスをカバーしようとすこしだけ腕を回してしまう。それで球が暴れているんじゃないですかね」と制球難に考察を加えた。
その上で「長年見てますが、力を入れる場面での投球は腕を振ることに頼っているんです」としながら、改善策としては「腕を振ることに頼るのではなく、いわゆる足を中心に使っていくという感覚を持った方がいいと思います」と、下半身主導でピッチングを行っていく意識を持ったほうがいいとした。
戻ってきた剛腕がいかに道を切り開いていくか。今後も注目となりそうだ。
【さの・しげき】
1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。
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