強力・中日リリーフ陣に頼れる男が帰還 岩嵜翔のキャリアが再び動き出す

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復帰した岩嵜にスタンドからは大きな拍手が起こった(C)産経新聞社

「ドラゴンズ、代打いたしました大島に代わりまして、ピッチャー岩嵜」

 6月5日のソフトバンク戦で、中日・岩嵜翔が1軍のマウンドへ帰還。止まっていた時間が再び動き出したかのように、場内は悲鳴にも似た歓声と大きな拍手に包まれた。ファンは知っていたのだ。これまでの実績、そして苦闘を――。

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■移籍初登板で右肘痛発症、そしてTJ手術

 岩嵜が中日に入団したのは2021年オフ、又吉克樹のFA移籍に伴う人的補償としてだった。

 150キロを超える直球と落差の大きいフォークを武器に、長年ソフトバンク投手陣を支えてきた。そんな岩嵜に対しては首脳陣の期待も大きく、移籍1年目から早速セットアッパーを任された。

 たた、その構想は早くも崩れてしまう。2022年の開幕2戦目、東京ドームでの巨人戦。岩嵜は2点リードの8回に移籍後初登板を果たすも、先頭のグレゴリー・ポランコ(現ロッテ)に四球を出したところで右肘の違和感を訴え降板。その後「右前腕屈筋損傷」と診断され、同年9月には右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術、いわゆる「トミー・ジョン手術」を受けた。

 そして、2023年シーズンは育成契約でスタート。治療に専念することが決まった。

■約1年のリハビリを経て支配下復帰

 一般的に、トミー・ジョン手術を受けると競技復帰まで最低1年は要する。球団の公式YouTubeでは術後1か月半後の密着動画を確認できるが、右肘付近には大きなギプスがはめられ、チューブを使った地道なトレーニングを繰り返していた。

 リハビリが功を奏したのか、2024年を迎える頃にはピッチングを再開できるほどに回復。春季キャンプ中の2月22日、阪神との練習試合で復帰登板。1回無失点と無難に片付け、順調な再スタートを切った。

 2軍の公式戦に入っても岩嵜は度々登板し、連投テストもクリア。16試合で防御率1.80と内容も上々で、6月4日に晴れて支配下復帰を勝ち取った。背番号は離脱前にも身につけていた「16」だ。

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