「やる前は地味だなと思っていた」那須川天心が語ったボクシング転向後の“変化” 適応し始めたボクサーとしての「現状」

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「倒しに行くと倒せない」

 無論、タイトル奪取を切望する本人に浮足立つ素振りは見られない。今回の一戦に向けて陣営から「お前はパンチ力がないんだぞと改めて言われた」という神童は、こう自身の現状を語る。

「倒しに行くと倒せない。流れの中で戦って、相手を導いて、自分で相手を動かして戦うことをずっと意識してます。パンチ力は元々ある方ではないんで。相手の見てないところで打つのが一番効くので、そういう状況をどう作るかというのを常に重視してます。それがより明確になってきました」

 アッパーも織り込んだフィニッシュの連打を見せた前回のロドリゲス戦では適応能力の高さも示した。序盤にしきりに飛んできた鋭いパンチに対して右のパンチモーションをよりクイックにすることで対応。こうして相手を袋小路に追い込み、TKO勝ちを収めた。一連のパフォーマンスには「流れの中で戦う」ことへのこだわりが垣間見えた。

 ボクシング転向から約1年が経ち、その深みを知り、どんどんのめり込んでいる。挑戦前は「正直、やる前までは(ボクシングが)地味だなと思っていた」という那須川は「めっちゃハマってる。好きなんです」と語る。こうした言動を見ても、彼が興行の主役を張る日は遠くないように思える。

 ボクシングへの愛が増している。だからこそ、14日のタイトルマッチでは「生き様を見せたい」と語る偉才の姿を目に焼き付けたい。

[取材・文:羽澄凜太郎]

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