難敵撃破も神童に生じた「いらない間」 膠着状態の中で見えた“ボクサー・那須川天心”の次なる課題「倒しに行くと倒せない」

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アシロをカウンターでの一撃でダウンさせた那須川。それでも課題はあった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

「倒しに行くと倒せない」

 電撃転向から約1年半。世間の逆風に苛まれながらも、着実に才能を伸ばしてきた那須川天心。日本格闘技界の神童は、ボクシングのプロキャリア5戦目にして“世界”を狙える位置につけた。

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 10月14日、東京・有明アリーナで行われたWBOアジアパシフィック王座決定戦で、那須川天心(帝拳)は、ジェルウィン・アシロ(フィリピン)に3-0で判定勝ち。転向してから無敗記録(5勝0敗)を維持するとともに、国内での世界挑戦資格を得られる地域タイトルを手にした。

 9回にカウンター気味に繰り出したボディでダウンを奪った那須川。最終10回に、アシロとの偶然のバッティングでキックボクシング時代も含めた格闘技人生で「初めて」だという出血を経験。左まぶたから流血に「あ、これが『切れた』か、みたいになった」と言いながらも、手数を緩めずに試合を終えた。

 試合後にリング上でマイクを握った際には、「オレの大事な顔に傷つけやがって。顔で売ってるのに……」と笑顔。いつもの“天心節”をかました。だが、会見場では一転。「率直に相手が自分がやりたいことをやらせてくれなかった」と冷静に自己分析を展開した。

「研究されていたし、アマで200戦以上あって上手かった。10回を通して戦えたのはよかった。上が柔らかくて相手がうまかった。自分のペースで戦えたのは収穫。ダウンは打ってきたところを腹を打って飛ばした。終始プレッシャーをかけてしっかりとダウンを奪えたかなと」

 この一戦を前にした囲み取材で、「倒しに行くと倒せない。流れの中で戦って、相手を導いて、自分で相手を動かして戦うことをずっと意識していますね」と語っていた那須川。この日は一撃必殺の強打を狙うアシロとカウンターを放つ隙を探り合う膠着状態が続いた。

 ともすれば、凡戦とも言える展開。じりじりと我慢を強いられる中でも「冷静だったと思う」と語る那須川は、「圧力を変えて出そう、出そうとしたけど、突っ込んでくるだけなので、(アシロが)攻めに来る感じがなかった。だから、そこからどう自分から仕掛けるかが課題になる」と分析。ボクサーとして修正点を口にした。

「今までは来る相手に対して自分からカウンターを狙ったりしていた。自分から仕掛けるっていうのがあまりなかったので、次からもっと、もっとやっていく必要があるなぁと思ったっす。あとスタミナは全然問題はなかったですけど、相手のペースになった時にどうなるかっていうのは今後の課題でもある」

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