「あんな大舞台で負けたことあんのかよ」――那須川天心は「敗北」を知って何を得たのか 井上拓真戦から感情が揺れ動いた日々

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「本当に裸一貫。やるだけ。どう思われようと関係ないから」

 心身ともにダメージはあった。それでも「人よりも濃い人生を送ってきた」と語る那須川にとって、敗北から感情が揺れ動いた日々は成長に繋がるのか。

 本人に訊けば、自身の心情を紡ぐように、こう振り返っている。

「成長だと思いますよ。成長だと思うし、そっちの方が生きやすい。何にも気にする必要がないんで。生きる意味なんて、どうでもいいし、自分にはもともとない。でも、今は、その生きる意味を作っていっている感じ。ただ時間を過ごしているだけじゃない。だから、こっちの方が生き甲斐を感じてますね」

 ボクサーとしての“生き甲斐”を見出した那須川。迎えるエストラーダは、18年に及ぶキャリアで49戦45勝4敗(28KO)と、負ける怖さも知る百戦錬磨の猛者だ。23年以降は、年1ペースでの試合消化に留まっていることからも体力的な衰えは否めないが、長年にわたり軽量級トップ戦線で戦い続けてきた経験値は、かつてないほどの脅威となる。

 老獪な強者にどう挑むか。「自分を壊さないと成長しない」とすごむ那須川は、全身全霊をぶつける覚悟を固めている。

「本当に裸一貫。やるだけ。どう思われようと関係ないから。本当に勝ちに行くだけ。もう腹は座ってるし、何が起きてもいいよって状況。これが良いか悪いかはわからないですけど、かならず良い結果にしますので。皆さん、声を出して応援してください」

 まさしく崖っぷち。「思ったようにいかないことが多いし、想像より遥かにデカい」というボクシング人生の瀬戸際に那須川は立っている。ただ、これまでも大なり小なり幾度となく障壁は乗り越えてきたのも事実。でなければ、「神童」として昇華されることもなかったはずである。

 エストラーダとの難戦を予想する声も「クソ食らえ」。もう腹は決まった。あとは、世間がどう騒ごうと、11日のリング上で己を証明するのみだ。

[取材・文/構成:羽澄凜太郎=ココカラネクスト編集部]

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