那須川天心が圧勝の裏で漏らした“弱音” 成長を遂げた神童が抱く現実とのジレンマ「ここでまだこういう勝ち方って…」

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相手を技術とスピードで圧倒した那須川。しかし、試合後に笑顔はなかった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

玄人好みなスタイルはボクサーとしての成長は感じさせた。しかし――。

「お前やれんのか」「世界は絶対に無理だからな。練習の半分も出てないぞ!」

 那須川天心(帝拳)に、セコンドから厳しい檄が飛んだのは、7回終了後のことだった。

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 6月8日に行われたWBAバンタム級6位のビクトル・サンティリアン(ドミニカ共和国)と対峙したこの日、試合内容を見れば、那須川の“圧勝”だった。初回から右のジャブが冴え、身体の軸ができ、ブレもなくなり、よりスムーズに強烈な左パンチやコンビネーションにつなげる場面もあった。4回に偶然のバッティングで左まぶたから流血するアクシデントはあったが、それでも神童は攻め抜いた。アマチュア時代に200戦をこなし、ボクシングの経験値では上回った世界ランカーでさえも、相手のクイックネスに気圧されたように見えた。

 また、那須川は倒されなかった。終盤に入ってポイントでの逆転は不可能と考えたサンティリアンが一発に賭けてリスクを冒して前に出たことで被弾する場面は増えたが、打たれ強さはこれまでよりも垣間見えた。持ち味であるスピードを活かし、ポイントを稼ぐ玄人好みのスタイルであれば、それなりの戦績は収められそうではある。

 しかし――、この日も相手は倒せなかった。自身が「課題」とする詰めの作業がどうにも進まない。ゆえにセコンドからも「世界は絶対に無理」と喝をいれられたわけである。

 確かに先述の玄人好みなスタイルはボクサーとしての成長は感じさせた。しかし、それは、おそらく那須川の理想とする戦いではない。だからこそ、試合後にお馴染みとなったビッグマウスも出なかった。歓声を受けたリング上で口を衝いて出たのは、己へのフラストレーションにも似た言葉だった。

「こうもうまくいかないかっていうか。調子も良くて、これにかけてやってきたんですけど、なかなか身を結ばないというか。これが実力。だから次でっかいことを言おうとか、まったく考えてなくて。本当に一歩一歩、またちょっと後ろに下がったりとかもあると思うんですけど。また一歩一歩、日々をしっかりと生きていきたいなと思います」

 ここまで弱気な神童は、少なくともボクシング転向後は見たことがなかった。どれだけ周囲の批判を受けようとも、それに呼応するように成長を遂げ、跳ね返してきた。世界前哨戦と位置づけた一戦で3人のジャッジのうち、2人が99-91、残り1人が100-90のフルマークをつける圧勝の内容で、声のトーンを落とした姿は少々意外ですらあった。

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