「最優秀GKはリー・ハオだ」中国の異論が示した深い命題 荒木琉偉との「20点差」が埋まらない理由【U23アジア杯】
問おう。良いGKとは何か? 最初のクロスをキャッチしたGKと、3回のファインセーブをしたGKはどちらが良いGKなのか。
重要なポイントは、前者のように相手の攻撃を未然に防いだGKのプレーは、メインスタッツや記憶に残らないことだ。後者のGKは最初のクロスをキャッチできないから、3回もファインセーブをしたわけで、セーブ数は一概に優れたGKであることを裏付けるデータではない。
確かに荒木のセーブ回数はリー・ハオより少なかった。だが、それは未然に相手の攻撃をシャットアウトしてきたGKの証かもしれない。また、機会は少なくても、荒木は通常のゴール枠におけるセービングも非常にレベルが高く、日本のピンチを防いできた。
逆にリー・ハオのほうも、もしかすると派手なセービングだけでなく、荒木のように未然に防ぐプレーでもっと存在感を発揮できるのかもしれないが、中国はゴール前を人海戦術で固めているので、荒木のように広いスペースに飛び出してプレーする機会が少なかった。その意味で、彼はまだ真価を発揮していない。荒木が100点満点のテストを受けているとすれば、リー・ハオは80点満点のテストを受けている。
そして、この20点の差を得るためには味方との連係が不可欠だ。
たとえば、本当に中国の4失点はリー・ハオにとって「ノーチャンス」だったのか。たとえば、小倉が決めた2点目のミドルシュート。リー・ハオと中国のDFはブロックのコースを分担できていなかった。DFがファーを切り、GKにニアを任せるのがセオリーだが、両方がニア寄りに立ってしまい、ファーが空いた。仮に中国のDFがファーを切れていれば、そこでブロックが成立し、小倉のゴールどころかシュート自体が記録されていなかっただろう。
そうしたシーンを未然に防ぐ連係は、フィールドプレーヤーと共に確立させるべき戦術であり、GKも無関係ではない。シュートを打たれた後だけ切り取れば「ノーチャンス」だが、そもそも打たれる前に防ぐチャンスがあった。リー・ハオは間違いなく良いGKだったが、あくまで80点満点だ。
再び問おう。荒木とリー・ハオ、どちらが良いGKなのか?
そもそも問題用紙が全然違うので、比較は難しい。個人的には荒木のプレースタイルこそ、世界のハイレベルを目指すルートだと信じているが、仮に中国がこの決勝で日本を破っていれば、リー・ハオが選ばれても異論はなかっただろう。
「最優秀GKは、リー・ハオだ!」
その言葉を負け惜しみと嘲笑すれば、それでおしまい。だが、奥が深い命題だった。荒木のプレーを再評価するための異論としても価値があったし、一方のリー・ハオも、100点満点のテストを受けられるチームでプレーすれば、もう一段化けそうな選手だった。
両GKは今後、どんな未来を歩むのか。U-23アジアカップ、これにて完――。
[文:清水英斗]
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