日本代表の主将がリバプールで“レギュラーになれない理由” 名門で遠藤航に課せられた課題【現地発】
移籍直後にクロップ監督が語った「求め」
クロップ監督も遠藤への期待を寄せている。(C)Getty Images
移籍直後の出来事だ。ロッカールームにやってきたユルゲン・クロップ監督は、遠藤を見るなり、「我々は君のことが本当に必要なんだ。キミのハート、両脚、サッカーセンス、そしてフットボール脳。君の強い気持ち、これらすべてが必要なんだ」と話していた。
それが具現化されたのが、トゥールーズとの一戦だったと言えよう。しかし、彼が30歳にしてイングランドに来た理由はより高いレベルで、クロップ監督の求めるプレーを継続することにある。
でなければ、リバプールはシビアに評価を下すチームでもある。チームキャプテンだったジョーダン・ヘンダーソンが、今年7月にチームを離れ、サウジアラビアのアル・イテファクに移籍したのは、クラブに「レギュラー選手としての給料を払えない」と言われたからである。
相次ぐ故障も影響し、昨季の時点でプレー時間が大幅に減少していた33歳は、今季はさらに減るだろうと告げられた。ゆえに長年キャプテンを務めたチームを去る決断をしたのである(※無論、サウジアラビアの潤沢なオイルマネーの恩恵も受けられる影響もある)。
現時点で遠藤に与えられているのは、このヘンダーソンの立ち位置だ。準レギュラーのカップ要員ではあるが、リバプールの1シーズンの試合数は50~60試合に及ぶため、リーグ戦でも出場機会が与えられるのは確実である。
今後の課題はプレミアリーグのペースへの対応と、スピード不足を補う新たな武器の習得だ。シュツットガルト時代にはデュエルでの強度に加えて、パス能力の高さも評価されていた遠藤は、9月下旬のレスター戦(リーグカップ3回戦)では、難易度の高いラストパスをドミニク・ソボスライに提供。見事に決勝ゴールを演出してみせている。
レスター戦のようにパサーとしての実力に磨きがかかれば、守備力はマカリステルに勝るだけに、先発の機会もグッと上昇するだろう。はたして、“オールドルーキー”は、今シーズン中に、世界的名門で定位置をつかみ取ることができるのだろうか。
[取材・文:松澤浩三 Text by Kozo Matsuzawa]
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