森保ジャパンはなぜ強くなったのか?破竹の6連勝「以前」と「以後」の差とは
日本代表は選手たちの個々の成長とチーム指針が噛み合って成長を遂げている(C)Getty Images
エルサルバドル、ペルー、ドイツ、トルコ、カナダ、チュニジア。6月からの国際親善試合は強豪ドイツなどW杯出場レベルの国を多く含むマッチメークだったが、第二次森保ジャパンは破竹の勢いで6連勝。しかもチュニジア戦以外は、4得点以上を叩き出す好調ぶりを見せつけた。
ベスト16に終わったカタール・ワールドカップを経て、日本はなぜ強くなったのか。
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理由は個とチームの成長だ。コンディションや心理、相性といった変化要素を除けば、強くなる理由はこの2つしかない。
個人を見ればリバプールの遠藤航、アーセナルの冨安健洋をはじめ、欧州の上位クラブに所属する選手が増えた。もはや相手の名前にビビったり、手合わせをして距離感を図るような気持ちでピッチに立つ選手は少ない。
フィードバックもある。カナダ戦のハーフタイムには森保監督と久保建英がピッチ脇で話し込み、その内容がレアル・ソシエダで実践しているビルドアップ戦術であることが話題になった。欧州トップクラブの中の人である選手を通じて、最先端の戦術を参考にできるのは大きい。
最近はJリーグの監督に取材を行う際、「ブライトン」というキーワードを聞くことも増えた。昨今のプレミアリーグで躍進する時のクラブ、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンのことだ。自陣の真ん中で恐れることなくパスをつなぎ、両サイドにウイングを押し出した状態から鋭く前進する。パスを回すことではなく、前進することを目的としたビルドアップを行う攻撃的スタイルで、「ブライトン」の名は世界に轟いており、日本でもJリーグの監督が「ブライトンみたいな……」と表現することが増えた。
最先端の潮流は、かつては間接的な情報でしかなかったが、今はそのブライトンに三笘薫が所属している。現場の情報、生の情報が、実際にプレーする選手を通して入ってくるようになった。
元々、森保監督はスポンジの人だ。広島でコーチとしてミハイロ・ペトロヴィッチ監督の戦術に学び、監督昇格後はそれをマイナーチェンジしてJ1優勝を果たしたように、他人のアイディアを吸収する意欲が高い。スタッフミーティングでも、先に全員の考えを聞いてから監督として話をするそうだが、選手にも同じくスポンジ姿勢で相対し、日本代表への刺激として吸収している。選手のキャリアアップがもたらす波及効果は、重要なポイントだ。